SurvivorS in Japan

西暦20XX年。
 
 それは唐突だった。

 当時5歳の私は何が起こったかわからなかった。

 突然空から"『ドロップ・サイト』"と呼ばれるようになる物体が宙から降ってきた。

 降ってきた途端、大災害のように化け物たちが出てきて世界は地獄へと変えていった。

 私の住む田舎の町は、すぐに化け物に飲み込まれ、人々は逃げまどい家畜も荒らされ、

 絶体絶命の窮地に陥った。

 友達も、両親も、家もすべて破壊され、殺されてしまった。

 化け物と目が合い襲われそうになった刹那、化け物が真っ二つになったのだ。

 ありえなかった。

 大人たちでも手も足も出なかった化け物が真っ二つになったのだから。

 舞い散る花びら。

 そして、淡い紅色の光を纏った一振りの刀。

 後に『灼霜』と呼ばれるその刀を手に、一人の女性が立っていた。

 長い黒髪を揺らしながら、彼女は静かに刃を振るう。

 その度に、化け物たちはまるで紙のように斬り裂かれていった。

 圧倒的だった。

 恐怖も、絶望も。

 その人の背中を見た瞬間だけは、忘れていた。

 「……まだ生きてる?」

 振り返った彼女は、血に濡れた戦場には似合わないほど優しい声でそう言った。

 私は泣きながら頷くことしかできなかった。

 「よかった」

 そう微笑むと、彼女は震える私の頭を優しく撫でた。

 その時の私は知らなかった。

 彼女が《サバイバー》。

 そして、日本でも指折りの実力者。

 コードネーム

 『月冥神楽』(つきめいかぐら)。

 あの日。

 地獄の中で私を救ってくれたあの人の背中は。

 幼かった私の目には、誰よりも綺麗で。

 誰よりも強く見えた。

 だから。

 いつか。

 私も。

 誰かを救える人になりたいと、そう思った。

 そして十二年後。

 十七歳になった私は、サバイバーサポートの扉の前に立っていた。