SurvivorS in Japan

世界が壊れたのは、たった一日だった。

五十年前。
空から降ってきた“それ”――『ドロップ・サイト』が、すべてを変えた。

都市は裂け、常識は崩れ、そして人は知った。
この世界には、“人間ではない何か”が存在することを。

後に《エネミー》と呼ばれる存在。
それに対抗するため、人類は進化した。

伝説や物語の中にしかなかった力。
炎を操る者、霊を従える者、理を歪める者――
そんな異能に目覚めた人間たちは、《サバイバー》と呼ばれるようになった。

彼らは戦う。
《エネミー》を狩り、その核から生まれるエネルギー資源――『エネマイト』を回収するために。

それは文明を再び動かす燃料となり、
同時に、《サバイバー》を富と権力の頂点へ押し上げた。

世界は変わった。
だが、その中でも一際“異常”と呼ばれる国がある。

――日本。

アメリカのように体系化された超能力もなければ、
韓国のようなゲーム的なシステムもない。
ヨーロッパのような聖遺物による秩序も存在しない。

代わりにあるのは、混沌。

神を降ろす者。
怨霊を操る者。
刀一本で理を断つ剣士。
笑い話にしか見えない力で戦場をひっくり返す異能者。

あまりにも自由で、あまりにも予測不能。

その危険性ゆえに、国際社会はこの国をこう呼ぶ。

――『クレイジー・リザーブ』。

狂気の保護区。

そして、これは――
そんな国で生きる、一人の《サバイバー》の物語だ。

「次の依頼、受けるか?」

薄暗い事務所。
壁に貼られた無数の依頼書と、電子パネルに並ぶ任務一覧。

ここは、特異事象対策・協力機構――通称《サバイバー・サポート》地方支部。

国や企業からの依頼を仲介し、
《サバイバー》に仕事を与える場所。

言ってみれば、異能者のための“職業安定所”であり、
同時に命を賭ける“ギルド”でもある。

俺はその端末に手を伸ばす。

ランク、報酬、危険度――
すべてを一瞥して、迷わず一つを選択した。

「受けるに決まってるだろ」

世界はもう、元には戻らない。

だったらせめて――
この狂った世界で、上に行くしかない。