閃木孝太郎の事件簿

すっかり辺りは暗くなっていた。
 ビルの屋上へ上がると、芝生に石畳のある空中庭園が広がっていた。奥の手すりに寄りかかり地上を眺める男がいる。
 閃木が屋上へ踏み入れると星野が振り返った。
「やぁヒラメキくん。調査の進展はどうかな?」
 にっこりと微笑む目は決して笑ってはいなかった。「答えを聞こう」そういう真剣な目だった。
「はい犯人を突き止めましたよ。でも驚きました 。」
 星野の妖艶な目が閃木を射抜いた。三十路半ばではあるがその目は未だ衰えず、ギラついた眼光が目の前の青年に審判をくだそうとしていた。
「まさか父親役があなただったとは」
 夜空から聞いた父親役の名前、それは星野本人であった。表舞台には出ないと聞いていた男がこの事件の黒幕を演じていたことに閃木は驚きを隠せなかった。
 今閃木は座長星野ではなく夜空の父役の星野へ会いにきているというわけだ。
「夜空から聞いたんだね、その通りだ」
「まぁいいや、続けます。レストランのオーナーであるあなたなら公演前に鈴木さんを呼び出すこともできます。恐らくは娘に付き纏っていた鈴木さんが許せなかったのでしょうね」
 その後閃木は先ほどレストランで披露した推理を話して聞かせた。
 鈴木を殺した後、二階堂レイに罪を着せるために天井に死体を吊し仕掛けをした。その後公演中に地震がきて停電が起き、事故で娘に容疑が降りかかった。
 そのために嘘の細工をし、間違った方向性へ導くために探偵を依頼したことも付け加えた。夜空の話では依頼者は父親ということだったからだ。
 そこまで話し終えると、閃木は目を閉じた。そう、ここまでが閃木孝太郎としての推理だった。