「ヒラメキさーん!大丈夫ですかー!?」
舞台天井に向かって夜空が呼びかける。
「うん!高いところ得意だし!」
照明の間から閃木がひょっこり顔を出した。
天井裏は何かと作業のできる連絡通路のようになっていて、年末などはそこから紙吹雪を落としたりすると後藤から聞いた。
「あった!あったよ!」
暗い天井裏をじっくりと探していると、死体の真上の位置にそれを見つけた。ワイヤーの切れ端であった。
先端は焼けこげており、その先は無かった。
恐らくは何か装置が付いていてスイッチか次元装置か、とにかくワイヤーが焼き切れて死体だけ落ちてくる仕組みだったのだろう。
天井裏から降りてきた閃木はこう説明する。
「それが地震で誤作動した…というわけだったんだ」
「血は?たくさんありましたけど」
「一緒に吊り下げておいたんじゃないかな?」
「でも上から人が落ちてくるなんて変ですよ、停電は偶然だったんですから……本来は丸見えだったはず」
「いや、そうでもないんだ。この映像では鈴木さんはワイヤーアクションで登場する。つまりワイヤーアクションに失敗したように見えたはずだ。」
「え!でも今回のショーでは鈴木さんはビルの上から登場する予定でしたよ!演出が違うのにそんな風に見えるかな……」
夜空の疑問はもっともであった。しかしそれこそが事件解決の鍵だと閃木は思っていた。
「犯人はショーの変更を知らない人物。つまりショーの関係者じゃないんだ!二階堂レイでも中堂さんでもない。恐らくは後藤さんでもないだろう。そしてその人物は舞台に細工をしたんだ」
「細工?」
「そう、あたかも死体が地下にあったかのように血を途切れさせたり、血の入った袋を回収したりね」
「え!私!?」
「違うでしょ」
閃木は舞台の上をゆっくり歩きながら勿体つけた。これが火曜日のサスペンスドラマなら関わった人全員を集めて披露したいところだがあいにくそういうわけにはいかない。観客は夜空だけだ。
「君は錯乱しているところを父親に止められたと言っていたね?」
「はい」
「そう、舞台上に上がったのは君と、父親だけだ」
「あ!」
「君の父親役の名前を教えてくれるかな?」
差していた西陽は夕闇の空へ沈んでいく。夕暮れが近づいていた。
あとはこの結論を星野座長に伝えるだけだ。閃木は隣のビルにいるはずの星野の元へ向かおうとレストランを出ようとした。
「……名瀬さん。」
「ん?」
「気をつけてくださいね」
振り返った夜空の顔からは笑顔や優しさというものが消えていた。
真剣な眼差しで名瀬と呼んだ彼女は紛れもなくこの世界の外の人間だった。
「この試験はあなたで十人目です」
「え?」
「中には一切捜査を行わずに私の話だけを聞いて答えに辿り着く人さえいました。もちろん推理の結果があっていたかどうか私は知りません。でも全員不合格でした。」
「叔父はいつもそうなんです。人を試すんです」
夜空の目奥に星野座長の顔が浮かぶ。その目に射抜かれたようで唾を飲んだ。
舞台天井に向かって夜空が呼びかける。
「うん!高いところ得意だし!」
照明の間から閃木がひょっこり顔を出した。
天井裏は何かと作業のできる連絡通路のようになっていて、年末などはそこから紙吹雪を落としたりすると後藤から聞いた。
「あった!あったよ!」
暗い天井裏をじっくりと探していると、死体の真上の位置にそれを見つけた。ワイヤーの切れ端であった。
先端は焼けこげており、その先は無かった。
恐らくは何か装置が付いていてスイッチか次元装置か、とにかくワイヤーが焼き切れて死体だけ落ちてくる仕組みだったのだろう。
天井裏から降りてきた閃木はこう説明する。
「それが地震で誤作動した…というわけだったんだ」
「血は?たくさんありましたけど」
「一緒に吊り下げておいたんじゃないかな?」
「でも上から人が落ちてくるなんて変ですよ、停電は偶然だったんですから……本来は丸見えだったはず」
「いや、そうでもないんだ。この映像では鈴木さんはワイヤーアクションで登場する。つまりワイヤーアクションに失敗したように見えたはずだ。」
「え!でも今回のショーでは鈴木さんはビルの上から登場する予定でしたよ!演出が違うのにそんな風に見えるかな……」
夜空の疑問はもっともであった。しかしそれこそが事件解決の鍵だと閃木は思っていた。
「犯人はショーの変更を知らない人物。つまりショーの関係者じゃないんだ!二階堂レイでも中堂さんでもない。恐らくは後藤さんでもないだろう。そしてその人物は舞台に細工をしたんだ」
「細工?」
「そう、あたかも死体が地下にあったかのように血を途切れさせたり、血の入った袋を回収したりね」
「え!私!?」
「違うでしょ」
閃木は舞台の上をゆっくり歩きながら勿体つけた。これが火曜日のサスペンスドラマなら関わった人全員を集めて披露したいところだがあいにくそういうわけにはいかない。観客は夜空だけだ。
「君は錯乱しているところを父親に止められたと言っていたね?」
「はい」
「そう、舞台上に上がったのは君と、父親だけだ」
「あ!」
「君の父親役の名前を教えてくれるかな?」
差していた西陽は夕闇の空へ沈んでいく。夕暮れが近づいていた。
あとはこの結論を星野座長に伝えるだけだ。閃木は隣のビルにいるはずの星野の元へ向かおうとレストランを出ようとした。
「……名瀬さん。」
「ん?」
「気をつけてくださいね」
振り返った夜空の顔からは笑顔や優しさというものが消えていた。
真剣な眼差しで名瀬と呼んだ彼女は紛れもなくこの世界の外の人間だった。
「この試験はあなたで十人目です」
「え?」
「中には一切捜査を行わずに私の話だけを聞いて答えに辿り着く人さえいました。もちろん推理の結果があっていたかどうか私は知りません。でも全員不合格でした。」
「叔父はいつもそうなんです。人を試すんです」
夜空の目奥に星野座長の顔が浮かぶ。その目に射抜かれたようで唾を飲んだ。

