レアン・ダージリンと火刑法廷〜メイド服の弁護人と花売りの魔女〜

6
「ごめんなさいレアン……あなたを巻き込んでしまって」
 檻に戻されたレベッカは法廷の隅でレアンに謝罪した。
「いいんだよ、そんなことよりはやく作戦を練らないと」
 そう、休廷は10分間しかないのだ。
「うん…でもどうして?私なんか放っておけばよかったのに」
 レベッカはスカートをギュッと握りして涙を浮かべた。
 そういえばアサムはレベッカを知らない。しかし二人がそんなに深い仲だとは思えなかった。
「え?だって面白そうじゃん」
 レアンがケロッと言い放ったのでアサムもレベッカも目を丸くした。
「おもしろそう!?そんな理由で!?」
 アサムはレアンを怒鳴りつけた。まさか、いくら法律が好きだからって自分の命をかけて裁判をやろうとは。アサムは恐れ入った。変なのは格好だけじゃなかったか。
「いや、面白うだろう」
「命がかかってるんだぞ!」
「まぁね、でも……」
 レアンの目には光があった
「友達を救って、腹立つやつをギャフンと言わせるのは絶対に面白い」
 そうだ、レアンはそういうやつだった。
「レベッカはさ、俺の服装を可愛いって言ってくれたんだ。カーネーションが似合うねって言ってくれて、こっそり一輪プレゼントしてくれて……だからレベッカは俺にとって大事な友達なんだよ」
 そういえば少し前に赤いカーネーションを嬉しそうに髪につけていたことがあった。あれはレベッカにもらったものだったのか。
「理由なんてそれでいいだろ?」
 そうレアンが笑いかけたところで裁判所の人間が声をかけてきた。
「審議が再開されます。お戻りください」
 結局大した作戦も立てられないまま休廷時刻を過ぎてしまった。そもそも10分で何ができるというのだろうか。
「ねぇレアン」
 被告人席に戻るレベッカがレアンに声をかける。
「ノアはどうして……私を呼び出したんだろう」