テンプレみたいな恋だった


そうして祭りが明けた学校の昼休み、やっと給食を食べ終わった私の隣には翔ちゃんがしゃがみこんでいた。

昼休憩の終わり際、がやがやとした教室の中で後ろのロッカーの前で座り込む彼は沈黙する。呼ばれたのになぜか沈黙に付き合わされる私は、翔ちゃんのつむじを見下げていた。

「翔ちゃん、どうしたん? 黙ってばっかり」

彼は顔を合わせばあれやこれやとペラペラ話しかけてくるのに。翔ちゃんの整った顔がやっと上がって、私は祭りで横顔ばかり見ていた彼の顔をやっと真正面から見た。

「サヤちゃん、相田に告白されたってほんま?」
「あーうん、断ったけど」

告白されたのは初めてだった。付き合ってと言われて、全然ぴんとこなくて無理とドキッパリ言った。ただそれだけだ。

「なんて言われたん?」

翔ちゃんの少し重みのある声が違和感だ。まだ昨日のことなので思い出せるだけ正確に答えた。

「えっと『いつも笑っててかわいいけど、なんか無理してんちゃうかって心配してる』ってようわからんこと言われた」
「なんやねんそれ、わかったふりして、ウッザ」

怒ったような綺麗な二重にまっすぐ見つめられると、なんだか視線が痛くて、どうにも目が逸らせなかった。翔ちゃんの低くなった声がみぞおちに刺さる。


「俺はそのままのサヤちゃんが好きやで」


耳の奥がこそばゆい感じがしたけれど、私は彩矢からよくからかわれてるのと同じようにすぐ答える。

「何言うてんねん」

へらっと笑った私に、翔ちゃんは笑い返さなかった。くっと歪んだ眉が印象的だった。チャイムが鳴って、彼は隣の教室に何も言わず帰って行った。

その背中のことは、よく、覚えている。