目を覚ますと、壁に彫っていた傷がきれいさっぱり消え去っていた。眠っている間に暖が塗りつぶしたのだろう。ペンキのかすかな匂いが残っていた。腹立たしいほどに真っ白な壁を手で擦りながら、おれは呻いた。窓のない部屋にはテレビもスマホもパソコンもなく、季節も感じることができない環境で、日付の感覚さえ失ってしまったら、いよいよ神経が参ってしまう。暖はそのことを知っていながら壁の傷を消したのだ。
暖の思いどおりにはさせたくない。おれは再び拘束具の端で壁に線を描いた。何度消されても、頭のなかに必ず刻み込むつもりだった。どれほど追い込まれても、屈服する気はなかった。
おれは髭を剃り、食事を取り、腕立て伏せや腹筋などの運動をはじめていた。いざ逃げるチャンスがきたときに体力がなくては困る。外に出て助けを求めるときにも浮浪者のような姿では警戒されるだろう。
壁の傷を見据え、おれは誓った。絶対に生き抜く。生きて、必ずここを出る。人生をやり直すのだ。
暖の思いどおりにはさせたくない。おれは再び拘束具の端で壁に線を描いた。何度消されても、頭のなかに必ず刻み込むつもりだった。どれほど追い込まれても、屈服する気はなかった。
おれは髭を剃り、食事を取り、腕立て伏せや腹筋などの運動をはじめていた。いざ逃げるチャンスがきたときに体力がなくては困る。外に出て助けを求めるときにも浮浪者のような姿では警戒されるだろう。
壁の傷を見据え、おれは誓った。絶対に生き抜く。生きて、必ずここを出る。人生をやり直すのだ。


