中の人は秘密なのに、クラスのアイドルが近すぎる

一時間目が始まる前には、もう凛央の机のまわりに人が集まっていた。

「白石くん、昨日ほんとに大変だったよね」

「ステージの動画、学校のグループにも回ってたよ」

「みどまるとの写真、かわいくない?」

「ありがとう」

凛央は笑って、きれいに受け流す。

「怪我なくてよかったよ」

「みどまるも、すごかった」

その声は教室の真ん中にぴったりの声で、誰が聞いても安心できるやつだ。俺は自分の席で記録ノートを開いた。

今日の日付のページの端に、小さな字が増えている。

『昼 東花壇裏』

その下に、細い葉が二枚。
双葉じゃなくて、ミントみたいな形だ。

胸の奥が、静かにうるさくなった。