イベントの終盤、子どもたちと一緒に花の苗を植えるコーナーになった。俺は直接手を出すのは危ないから、少し後ろから見守る役だ。
小さなスコップで土を掘る音。水やり用のじょうろが揺れる音。春の土は黒く湿っていて、掘り返されるたび匂いが立つ。
凛央は制服じゃないのに、どこか学校の人気者みたいだった。子どもにも親にも先生にも好かれるやつ。笑って、しゃがんで、手元を覗き込んで、「上手」とか「それ、いいね」とか、言いすぎない言葉を置いていく。
「みどまるも見てるよ」
そう言って俺のほうを振り返ったとき、一瞬だけ、客席向けじゃない表情が混ざった気がした。
疲れてないか、って確かめるみたいな。
たぶん、気のせいだ。
でもその気のせいに、俺は何回も助けられていた。
小さなスコップで土を掘る音。水やり用のじょうろが揺れる音。春の土は黒く湿っていて、掘り返されるたび匂いが立つ。
凛央は制服じゃないのに、どこか学校の人気者みたいだった。子どもにも親にも先生にも好かれるやつ。笑って、しゃがんで、手元を覗き込んで、「上手」とか「それ、いいね」とか、言いすぎない言葉を置いていく。
「みどまるも見てるよ」
そう言って俺のほうを振り返ったとき、一瞬だけ、客席向けじゃない表情が混ざった気がした。
疲れてないか、って確かめるみたいな。
たぶん、気のせいだ。
でもその気のせいに、俺は何回も助けられていた。



