中の人は秘密なのに、クラスのアイドルが近すぎる

週が明けた朝、教室の空気はいつもより少しだけ浮ついていた。

「白石くん、この前の市の公式アカ見た?」

「みどまるとの動画、めっちゃ伸びてたよ」

「コメント欄、平和すぎて逆にすごかった」

窓際で、凛央はいつも通りきれいに笑う。

「見てくれてありがとう」

学校の白石凛央は、相変わらず完璧だった。

けど、俺は玄関先で聞いた声が、勝手に蘇る。
詮索する気はないよ、って言ったくせに。
お礼、言いたい、なんて言ったくせに。

学校の凛央は、そんなこと何も言ってなかったみたいな顔をしていた。