明けぬ空に、君を想う


雷の音が聞こえた。

あたりが暗くなったのもあって、霊雷がはっきりと見える。

陽真は走り出す。
いくつも向かってくる黒い矢を避けながら。

喪月は楽しそうに、攻撃を仕掛け続ける。


「暗すぎて見えないわ、、、」


一人の女の人が言った。

確かに、今は夜。
暗すぎて、空亡の攻撃が見えづらい。

だけど、はっきりとその力を感じる。
浮き出るように見えるのだ。


ーー私も、、、

やれることをやる。
重症の怪我人に近づいた。
周りの人に聞く。


「布はありますか?」

「ああ、これを使って。」

「ありがとうございます。」


周りの人たちは聞く。


「手慣れてんな。」

「できんのか?」

「器用だな。」


私は静かに返す。


「ええ、教わったり調べたりしたんです。」


建物の崩壊に巻き込まれた人は、かなり傷を負っていた。
死者がまだ出ていないだけいい方なのかもしれない。

できるだけ、止血や水の洗い流しをする。

水筒やハンカチなど、日用品でできることは限られる。
それに、こんな手当で歩けるはずもない。

「それぞれ、そばにいる人たちが移動の時は手を貸してください。」

「はい。」

「分かった。」


ーーあとは、、、


「この人達、かなり直接当たりましたか?」


空亡の攻撃、術にかかったであろう人たち。
それを囲う人たちに聞いた。


「ええ、いきなりあいつが現れた時に、、、」

「矢や波に当たったんだ。黒い、、、」


辛い表情の人たちを見て、胸が痛む。


「そうですか、、、」


ーー五人。

攻撃にかかった人のうち三人は、虚な目をしていた。
どこを向いているのか、何を考えているかも分からない。

もう一人は、意識を失っている。
目覚めない姿を、家族が涙を流して声をかける。


「おい!目を、覚ましてくれ、、、!」


もう一人は、顔を歪めて、向かいの人が誰かを問う。


「私は妻よ。あなたの、、、」

「わ、分からないんだ。本当に、思い出せない、、、」

「そんな!」


震えが止まらない。
袖の中で握りしめていた手を、そっと出す。


ーーお願い、、、


心灯を使ったけど、暗闇の中で見つけた光は、すぐに消える。


ーーどうして、、、


全く、使うことはできなかった。
また、見ていることしかできなかった。

バタ!

その音の方向を向いた。
陽真が落ちた音だった。


「陽真!」


陽真はすぐに起き上がり、体制を直す。
再び喪月に向かって霊雷を使う。

陽真はダメージを受けていた。
怪我も負っている。

私が見ていない間に、かなり戦闘が進んでいた。

月夜が広がっていた。
もうどれほどの時間が経ったかは分からない。