「やっと来たか。良かったなあ。再会できたのか、お前たち。別々にいたら二回起こそうと思っていた騒ぎだが、、、今夜だけで済みそうだ。」
一人でつらつらと並べた言葉に、私たちは息を呑む。
その時、奥にいる人たちの声が聞こえた。
「しっかりして!」
「おい、大丈夫か!?」
「ダメだ、、、術にかかってる。」
「うちの人も!」
耳が痛くなる。
皆、苦しんでいる人たちがいる。
この場所にいる被害者だけで何人だろうか。
「あ、あんたたち、、、」
一人の男の人が私たちに叫んだ。
「なんで来たんだ!危ねえぞ。」
他の人たちも言う。
「まだ子どもだろう。」
「そうよ。今からでも逃げないと、、、」
色んな声が聞こえた。
隣にいる陽真に話しかけた。
「私、結局使えるようにならなかったの、、、だけど、あの人たちの役に少しでもたてたら、、、」
私の言葉に、陽真は頷いた。
「うん、そうだね。とにかく怪我人の手当てもある。時間は稼げるか分からないけど、向こうの人たちのことは小夜に任せるよ。」
「ありがとう。」
そう会話した瞬間、黒い矢のようなものが向かってきた。
「わっ、、、!」
陽真が勢いよく手を引いてくれたお陰で、当たることはなかった。
喪月からの攻撃だと分かる。
そして今度は黒い矢が波になって動く。
私たちに向かって来ている。
避けていくうちに、私たちが来た方を塞がれた。
陽真に手を引かれながら走り、その範囲内で動く。
喪月の笑い声が聞こえた。
そして黒い波が大きく揺れる。
「小夜、こっち。」
陽真は目で判断してその攻撃を抜けて行く。
景色も何も黒く遮られていて見えなかった。
そして、その黒い波が過ぎ去った時、自分が人々の近くに立っていることに気づく。
振り返ると、喪月が立っていた。
「いつの間にこんな移動してた、、、」
「あの黒さは、相手の目を欺くのにも向いている。最初のお試し、つまり舐められてるってわけ。」
陽真が解説をする。
そこに、喪月が口を開いた。
「逃げ足が早いな。二人。」
「お前もだろ。」
陽真が返す。
確かにスピードのある兄から逃げたのだから、喪月の逃げ足は早い。
「あ、あんたたち、、、」
後ろから声が聞こえた。
振り向くと、街の人たちが不安そうな顔をしていた。
一人の男の人が声を出す。
「異能者か?」
つられて他の人達も声を出した。
「もしかして、一条様?」
「大きくなられて、、、」
「そちらのお嬢さんは?」
そして、見覚えのある顔の女性もいた。
多分近所の人だ。
私を見て言った。
「あなた、水無瀬の、、、」
もう一族のことなど考えてはいられない。
否定も弁解もしている暇はない。
陽真は落ち着いて言った。
「俺が相手をします。できるだけ目立たないように、、、あと、攻撃が来るかもしれないので避ける用意も。あなたたちの逃げ道は探しておいてください。」
私も続けて話す。
「怪我人の手当ては私も手伝います。」
街の人たちは頷く。
まだ、軍隊や他の異能者の気配はない。
陽真は小さく呟いた。
「いつまで持つかは分からない、、、もしもの時は逃げて。」
「陽真、、、」
陽真は息を整えて喪月を見る。
刀を手に取り、力を込める。

