歩きながら、ふと視線を感じた。
ヒソヒソと、小さな声。
「、、、水無瀬家の人よね。」
「でも、あの子、、、」
聞こえないふりをする。
慣れているから。
私の顔は、街でもごく僅かな人だけが知っている。
『水無瀬家』、異能者を多く輩出する一族。
東都でもよく知られる一族。
舞うように戦い、空亡を祓う。
見た目に関しても、評判が良い。
街を歩けば、一族の噂も聞く。
けれど。
それは、私じゃない。
水無瀬家の異能は、主に男からしか現れなかったそう。
そしれ異能を持たない者は、代わりに容姿に恵まれる。
その華やかさは、異能を持つ者以上だとか。
どちらにしても、“価値がある“。
ーー本来なら。
「、、、」
足元を見る。
私には、どちらもない。
だから。
「価値がない者は、必要ない。」
その言葉だけが、残った。
ーーそれでも。
水無瀬家は揺るがない。
この東都でも、並ぶ者はほとんどいない名家。
、、、ただ、一つだけ。
同じくらいの力を持つ一族がある。
仲がいいわけではない。
むしろ、関わらないほうが良いとされる。
理由は、よく知らない。
けれど。
「近づくな。」
そう言われるには、十分だった。
それほどの権力を持つ家同士だからこそ、少しの衝突でも、大きな問題になる。
水無瀬家より上となると、あとはもうーー帝や政府くらいしかいない。
だからこそ。
この世界は、限られた者達で回っている。
そして、その中にーー
私は含まれてない。

