「小夜様!?」
使用人の文子さんに見つかった。
「どうしたのですか?そのように濡れて、、、」
「あ、その、、、」
「とにかく中へ。」
すぐに拭くものや着替えを持ってきてくれた。
「何か、ございましたか?」
「申し訳ございません。何でもないのです。」
「そのようには見えませんが、、、」
「本当に、大丈夫です。少し考え事をしていただけで、、、このことは、どうか他の者には。」
文子さんは一瞬だけ迷うように目を伏せ、それ以上は何も言わなかった。
「、、、風邪を召されませんように。こちらは洗っておきます。」
「ありがとうございます。」
頭を下げる。
ーーまた、迷惑をかけてしまった。
部屋に戻り、障子を開ける。
雨は、少しだけ弱まっていた。
冷たい空気が、頬に濡れる。
ーーこのままじゃ、、、
「このままじゃ、駄目だよね。」
小さく呟く。
お兄様に言われたことも、言ったことも、何もかも。
あのまま終わらせていいはずがない。
「陽真、、、」
名前を呼ぶと、胸が痛んだ。
逃げたままなんて、嫌だ。
次に会うとき、少しでも胸を張れる自分でいたい。
ーー今度こそ。
ぎゅっと手を握る。
救えるように。

