私は、陽真の前にいた。
苦しい表情の陽真に、何もできずにいた。
後ろから、何か攻撃が来るのを感じた。
それでも、どうしたら良いのか分からなかった。
陽真は力ない声で叫んだ。
「ダメだ、、、小夜、逃げろ!」
「できない!」
その時、何かの気配を感じた。
水が流れるような、いや、舞うような異能だった。
私は慌ててその方向を見る。
間近で見たのは初めてかもしれない。
異能が華麗に動き攻撃した。
中位空亡は驚いていた。
攻撃してきた一人の男に。
「こ、これは、、、」
ダメージを負ったよう、そして何かを探すような動作をした。
「奴らも来ているのか、、、それは想定外だった。」
そう言ってとんでもないスピードで逃げていった。
「逃げ足だけは速すぎる。惜しいな。」
そう呟く声が、聞き慣れた声が、私にはよく聞こえた。
見渡すと、塞がれていた出口が壊されて通れるようになっていた。
「良かった、、、良かった、、、」
「水無瀬のお方だわ、、、」
「流石だ、、、」
「ありがとうございました、、、」
近くにいた人々は晴れやかな顔でお礼を言う。
ただ、私と陽真だけが、緊張で汗が止まらなかった。
その男は、明るい声で言う。
「ええ、良かったです。ご無事で。では、失礼します。」
そう言い人々を見回した後、こちらを見た。
笑っているはずなのに、何か圧を感じる。
この余裕な笑みを、多分恐れている。
ようやく声が出た。
「お兄様、、、」
それしか出てこなかった。
そして近づいてきた。
私は頭を下げた。
「あ、ありがとうございました、、、」
その言葉に返事もせず、私たちに小さく言った。
「席を外すよ。」
戸惑いや先ほどの恐怖で行動が遅れていると、兄は言った。
「早く。」
それは、人目についている状況を避けたいからだと分かった。
「あの、陽真が、、、」
立ち上がるのもしんどそうな陽真のことを言った。
すると、ため息をついて陽真を引っ張り肩を貸した。
足早に人気のない場所まで歩いた。

