その日の夕食の時、やっぱり話題は空亡のことだった。
私はいつも通り、話に入ることはないけれど、しっかりと聞いていた。
「今日はご苦労だった。」
「いえ、ありがとうございます。軍隊が大きく動いたので、今日の空亡の件は落ち着きました。」
父の言葉に、兄はいつもの笑顔で返す。
そして、母と姉にも分かるよう丁寧に説明した。
「しばらく出ていなかった空亡が、今日突然出現したんだ。帝都、東都の中心部、そして、東都の外れでも何件かあったみたいでね。」
ーーやっぱり、、、
空亡はかなり多く出現した。
そして東都の端で出たのも、あそこだけではなかった。
「まあいつ出てきても困らないようにと、政府も軍隊も用意をしていた。お陰で残業にはならなかったんだ。」
ーーさすが。
私の声は、母で代用された。
「流石ね。」
「いえ、そんな。」
にこやかな笑みで答える。
その時、私の方も微かに見たような気がした。
ーー気のせいかな。
と思ったと同時に。
ーー皆あの笑みは本物だと思ってるのかな、、、?
なんて思ったりしてしまった。
この後も、まだ話は続いた。
分かったことは、やっぱり中位空亡に何か目的があるということ。
「でなければ、北都や西都、南都に出ないのは不自然だ。そして、東都の外れ地などに。」
父の言葉に、皆んな頷く。
私でさえ、おかしいことに気づいている。
夕食を食べ終わってからも少し続いた話は、父と兄の言葉で結論づけられた。
「とにかく、今回の騒ぎはおかしい。一時出来に収まっているがまだ続くだろう。」
「ええ、そうですね。忙しくなりそうだ。」
その言葉に、母も姉も続いた。
「心配ね。」
「どうかご無事で。」
「ああ、ありがとう。」
そんな会話を横に、私は考えていた。
胸騒ぎがあった。
部屋に戻って、障子を開けた。
窓から見える空の暗さばかりが印象に残った。
さっきまで透き通っていた川もラムネも、遠い景色に感じた。
「陽真、、、私には、何も出来ないよ、、、」

