明けぬ空に、君を想う


日差しが暑い日だった。
蝉の声が聞こえる。


「それでさ、すごく深く考えさせられたお話だったよ。」

「だよね。読む手が止まらなかったよ。」

「本当に、貸してくれてありがとう。」

「いや、俺も喜んでもらえて良かった。」


二人して街外れの道を歩きながら、最近見た本について話す。

読書が趣味な私たちは、お互い好みの本を教えあったり、貸し借りしたりしている。

今は、喫茶店に向かう途中だった。

人目につかない場所は、喫茶店と、そこまでの道くらいだった。
人の住んでいない住宅街や、森なんかがある。
そこに入ってすぐ、待ち合わせをしている。

そよ風が吹いた。


「やっぱ日陰の風は気持ちいな。」

「うん。ずっとここの道だったら良いのに。」

「そうだね。」


木から漏れる光に、陽真の白いシャツが光っている。
風に靡いて、なお綺麗だ。

今の所、一族にバレたりはしていない。
作戦や制限をつけて、念には念を。
そう考えていたのもある。

ーーそれから。

私のことを注意してみるほど、家族は興味を持ってない。
このままいけば、学生のうちは大丈夫かもしれない。


「小夜?」

「あ、ごめん。」


いつの間にか、喫茶店の前まで来ていた。

しかし、何かが貼られている。


「あれ?」

「今日、休みみたいだ。」


喫茶店が休みの日と、二人で会う日が被るのは初めてだった。


「どうしよう、、、」

「うーん。とりあえず歩こう。」

「そうだね。」


二人で、考えていた時だった。