明けぬ空に、君を想う


部屋で着付けをする。
いつもの袴ではなく、集まり用の着物だ。


「、、、動きにくいな。」


ボソっと溢す。

そして、一人でやったにしては出来の良い着付けに納得し、部屋から出た。
廊下を歩いていると、いろんな部屋の明かりがついている。

まあ、屋敷全体の人が集まりに参加するので準備をしているのだろう。

特に姉の部屋なんか、着飾るために使用人が何人も出入りしているみたい。

私は一人歩いていく。


「小夜様。」

「あ、準備できました、、、」


使用人の文子さんが私に気づいて声をかける。
そして広間まで一緒に行った。

同じ屋敷内だけど、少し距離がある。
広間は和室と洋室の二つがあるけど、大体和室を使っている。

辺りを見回すと、よく掃除と装飾が行き届いていた。
流石は本家、と皆口にするだけのことはあるみたいだ。

案内するかのように先を歩く文子さん。
歩くペースは、私に合わせてくれている。


ーーそうゆう決まりなのだと思う。

特別扱いされることもなければ、蔑ろにされることもない。

ただ、どちらでもない距離がある。

ただ、間違いなく家族の前で親切にするなんて場違いなことはしない。
クビになりたくないのならば、当たり障りなく過ごすに越したことはないんだと思う。

広間はとても明るい。

もうすでに、分家の二家族ほど来ていた。

お互いにお辞儀をする。
形だけの、浅いもの。

目は、ほとんど合わない。
微妙な顔をしてくるし。

小さな声が、ところどころで途切れる。
 

ーー聞こえないふりをするのも、もう慣れている。


そして、家族よりはダメージが少ない。

私はいつもの席に着く。 

本家の端っこ。
真ん中には父や兄、そして母が座るから。

ゾロゾロと人が揃って話し声が大きくなっている。
私は当然、話す人もいないので、ボーッとしている。
 

ーー本当は、ボーッとしちゃいけない場所だけど、、、