君のほうがうまく笑う

 駅を抜け、学校へ向かって歩き出したタイミング。

 周りに人がいないことを確認してから声を発した。

「分かった。30分だけなら貸してもいい」

 念のため、口元に手を置いてそう言った。

 そいつは「え!マジ?」と僕の顔を覗き込んだ。

 僕は思わず顔を傾けて避ける。
 ぶつかるはずもないのに。

「ただし、放課後。これから学校だから」

「っしゃー!さすが眼鏡くん」

 そいつは拳を空へ突き上げた。
 僕の肩も一瞬上がりかけて、つい舌打ちをする。


 別にいい。
 小さい頃からこういう体質だったし、慣れている。
 30分で消えてくれるなら、マシな方だ。


「何食おうかなー、やっぱラーメンかなー」

「1000円以内にしてくれよ」

 それだけ言って、僕はそっとイヤホンをした。