「本日は遠路遥々お越しいただき、どうもありがとうございます」
「こちらこそお招きいただきありがとうございます。……っ!? サク……姉……?」
先程までの朗らかな表情から一転、信じられないものを見るような表情へと変わるマツバ。
そんな彼のことを見ていられなくてサクは俯こうとするも、そんなことはさせないとでも言うようにナホトが背後に手を回して無理矢理サクをマツバのほうに向けさせた。
「おや、二人はお知り合いで?」
知っているのに知らないふりをするナホト。
彼はサクが嫌がることを理解していた。だからこそ、サクを無理矢理ここに連れて来ていた。
「……えぇ、幼馴染なんです。久々に会えたら嬉しいとは思ってましたが、こんな形で会えるとは」
マツバが言葉を選びながら話しているのがよくわかる。それが余計にサクには惨めだった。
「それはよかった。……ところで、まだ豊光国の王は未婚と聞きましたが、もしお古でよければソレお譲りしましょうか?」
「……は?」
「ナホト様!? 何をおっしゃってるんですか!?」
いきなり突拍子もないことを言い始めるナホトに、理解が追いつかない。
ナホトがソレと指したのは明らかにサクのことである。
突然何を言い出すのかと、自分だけでなくマツバまで侮辱するような物言いに信じられないとサクはナホトに食ってかかるような声をあげた。
「お前は黙っていろ」
「っ! ですが……っ」
「煩い。このボクが黙れと言ってるんだ」
「……っぐ」
「やめてください!」
ナホトの首が手にかかり、軽く絞められたところでマツバの静止がかかる。
マツバの必死の形相に機嫌をよくしたのか、ナホトは笑みを溢しながら手を離した。
「おっと、そんなに声を荒げないでください。冗談ですよ」
「冗談、ですか?」
マツバの声が固くなる。
それを聞いて、サクは居た堪れなくなった。
「えぇ、冗談ですよ。それにしても、どうもそちらの国で大層大事にされていた巫女殿ですが、我が国では役立たずでしてね。ほら、本日の天候もそうですが、ずっとこのような曇天のままでして。いい加減、この見せかけの能力には飽き飽きしていたんですよ」
「そうでしたか」
「ですから、そちらにお返ししようかと思いまして。ボクのお古で申し訳ないですが、ご伴侶にいかがです? まぁ、役立たずなので伴侶としても役立たずかもしれませんが」
始終バカにした態度を取り続けるナホト。
というのも、ナホトは豊光国を辺境の島国であり、国土が小さく、軍事力も大してないということで見下していた。
さらに、自分が父が頼み込んでサクを嫁がせてもらったにも関わらず、豊光国は自分に余計なものを押し付けてきたのだという勝手な逆恨みからの先程の発言だった。
黙り込むマツバ。
その姿に、優越感を感じるナホト。
自分のせいでマツバまで軽んじられることに、申し訳なさを感じるサク。
(どうしよう。マツバまで巻き込むわけにはいかない)
何とかこの状況を打破しないとと、サクが口を開こうとしたときだった。
突然マツバがサクに手を伸ばす。そして、そのまま腕を引っ張られて、気づけばサクはマツバの腕の中にいた。
「ナホト様のお心遣い感謝致します。ありがたくちょうだいさせていただきます」
マツバがにっこりとナホトに微笑む。
奪われるような形でサクを取られ、ナホトは憤りを感じるも自分からサクをあげると言った手前下手なことを言えない様子だった。
「彼女をいただく代わりにこちらは何をご用意すればよろしいでしょうか? あいにく、本日はあまり金貨など持ち合わせておりませんので後日お送りする形でもよろしいでしょうか?」
「いや、いい。不良品を回収してもらうのに金はもらわないだろう?」
「そうですか。ナホト様の寛大なお心遣いに感謝します」
ナホトがわざと煽るようなことを言うが、マツバは相手にせず。ナホトとマツバでは年が十程も差があるはずなのに、その堂々としたマツバの姿にサクは内心驚いた。
「では、我々はこれにて失礼させていただきます。行こう、サク」
「ナホト様、失礼します」
サクはぺこりと頭を下げると、そのままマツバに連れられてその場をあとにする。
何とも呆気ない終わりに戸惑うも、ナホトが見えなくなるまでマツバに肩を抱かれながら並んで歩き続けた。
「こちらこそお招きいただきありがとうございます。……っ!? サク……姉……?」
先程までの朗らかな表情から一転、信じられないものを見るような表情へと変わるマツバ。
そんな彼のことを見ていられなくてサクは俯こうとするも、そんなことはさせないとでも言うようにナホトが背後に手を回して無理矢理サクをマツバのほうに向けさせた。
「おや、二人はお知り合いで?」
知っているのに知らないふりをするナホト。
彼はサクが嫌がることを理解していた。だからこそ、サクを無理矢理ここに連れて来ていた。
「……えぇ、幼馴染なんです。久々に会えたら嬉しいとは思ってましたが、こんな形で会えるとは」
マツバが言葉を選びながら話しているのがよくわかる。それが余計にサクには惨めだった。
「それはよかった。……ところで、まだ豊光国の王は未婚と聞きましたが、もしお古でよければソレお譲りしましょうか?」
「……は?」
「ナホト様!? 何をおっしゃってるんですか!?」
いきなり突拍子もないことを言い始めるナホトに、理解が追いつかない。
ナホトがソレと指したのは明らかにサクのことである。
突然何を言い出すのかと、自分だけでなくマツバまで侮辱するような物言いに信じられないとサクはナホトに食ってかかるような声をあげた。
「お前は黙っていろ」
「っ! ですが……っ」
「煩い。このボクが黙れと言ってるんだ」
「……っぐ」
「やめてください!」
ナホトの首が手にかかり、軽く絞められたところでマツバの静止がかかる。
マツバの必死の形相に機嫌をよくしたのか、ナホトは笑みを溢しながら手を離した。
「おっと、そんなに声を荒げないでください。冗談ですよ」
「冗談、ですか?」
マツバの声が固くなる。
それを聞いて、サクは居た堪れなくなった。
「えぇ、冗談ですよ。それにしても、どうもそちらの国で大層大事にされていた巫女殿ですが、我が国では役立たずでしてね。ほら、本日の天候もそうですが、ずっとこのような曇天のままでして。いい加減、この見せかけの能力には飽き飽きしていたんですよ」
「そうでしたか」
「ですから、そちらにお返ししようかと思いまして。ボクのお古で申し訳ないですが、ご伴侶にいかがです? まぁ、役立たずなので伴侶としても役立たずかもしれませんが」
始終バカにした態度を取り続けるナホト。
というのも、ナホトは豊光国を辺境の島国であり、国土が小さく、軍事力も大してないということで見下していた。
さらに、自分が父が頼み込んでサクを嫁がせてもらったにも関わらず、豊光国は自分に余計なものを押し付けてきたのだという勝手な逆恨みからの先程の発言だった。
黙り込むマツバ。
その姿に、優越感を感じるナホト。
自分のせいでマツバまで軽んじられることに、申し訳なさを感じるサク。
(どうしよう。マツバまで巻き込むわけにはいかない)
何とかこの状況を打破しないとと、サクが口を開こうとしたときだった。
突然マツバがサクに手を伸ばす。そして、そのまま腕を引っ張られて、気づけばサクはマツバの腕の中にいた。
「ナホト様のお心遣い感謝致します。ありがたくちょうだいさせていただきます」
マツバがにっこりとナホトに微笑む。
奪われるような形でサクを取られ、ナホトは憤りを感じるも自分からサクをあげると言った手前下手なことを言えない様子だった。
「彼女をいただく代わりにこちらは何をご用意すればよろしいでしょうか? あいにく、本日はあまり金貨など持ち合わせておりませんので後日お送りする形でもよろしいでしょうか?」
「いや、いい。不良品を回収してもらうのに金はもらわないだろう?」
「そうですか。ナホト様の寛大なお心遣いに感謝します」
ナホトがわざと煽るようなことを言うが、マツバは相手にせず。ナホトとマツバでは年が十程も差があるはずなのに、その堂々としたマツバの姿にサクは内心驚いた。
「では、我々はこれにて失礼させていただきます。行こう、サク」
「ナホト様、失礼します」
サクはぺこりと頭を下げると、そのままマツバに連れられてその場をあとにする。
何とも呆気ない終わりに戸惑うも、ナホトが見えなくなるまでマツバに肩を抱かれながら並んで歩き続けた。



