「これを口に」
「お、おう。薬か? すまない」
少年の父親は急いで口に突っ込み、水を飲ませる。
「うそ……」
「奇跡だ……」
どす黒かった傷口がみるみるうちに塞がり、止まらなかった出血が嘘のように引いていく。
死の淵にいたはずの少年の頬にうっすらと赤みが差し、すぐに呼吸が安定した。
「……父ちゃん……?」
少年の掠れた声が、静まり返った室内を震わせる。
父親は声を上げて泣き崩れ、奇跡を目の当たりにしたスタッフたちは言葉を失って立ち尽くした。
「……よかった」
力が抜けた静香はその場にへたり込む。
「……あんた、何を飲ませたんだい……?」
「以前、えっと、お医者様にいただいた、秘薬? です。これ一個しかなくて……」
婦長に聞かれた静香はとっさに嘘をつく。
私も驚きましたと静香は目を泳がせながらぎこちなく答えた。
「ありがとうございます、ありがとうございます!」
助かった少年の父親が静香の手を握りしめて号泣する。
真珠はまた作り直せばいい。
でも、どうしよう。
もうここにはいられないかもしれない。
せっかく居場所ができたのに。
これからここに来る人たち全員を治すことはできない。
でも一度治してしまったからには、また期待されるはずだ。
少年が無事でよかったが、静香は絶望の淵に追い込まれた。
「……随分な騒ぎだな、何事だ?」
低く、よく通る声を聞いた瞬間、静香の背筋に戦慄が走った。
「お、おう。薬か? すまない」
少年の父親は急いで口に突っ込み、水を飲ませる。
「うそ……」
「奇跡だ……」
どす黒かった傷口がみるみるうちに塞がり、止まらなかった出血が嘘のように引いていく。
死の淵にいたはずの少年の頬にうっすらと赤みが差し、すぐに呼吸が安定した。
「……父ちゃん……?」
少年の掠れた声が、静まり返った室内を震わせる。
父親は声を上げて泣き崩れ、奇跡を目の当たりにしたスタッフたちは言葉を失って立ち尽くした。
「……よかった」
力が抜けた静香はその場にへたり込む。
「……あんた、何を飲ませたんだい……?」
「以前、えっと、お医者様にいただいた、秘薬? です。これ一個しかなくて……」
婦長に聞かれた静香はとっさに嘘をつく。
私も驚きましたと静香は目を泳がせながらぎこちなく答えた。
「ありがとうございます、ありがとうございます!」
助かった少年の父親が静香の手を握りしめて号泣する。
真珠はまた作り直せばいい。
でも、どうしよう。
もうここにはいられないかもしれない。
せっかく居場所ができたのに。
これからここに来る人たち全員を治すことはできない。
でも一度治してしまったからには、また期待されるはずだ。
少年が無事でよかったが、静香は絶望の淵に追い込まれた。
「……随分な騒ぎだな、何事だ?」
低く、よく通る声を聞いた瞬間、静香の背筋に戦慄が走った。


