太陽と狐は「 」をする

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「はぁ、はぁ、一体、どこに……」



 灯は葵を探して村の中をさまよっていたが、一向に見つかる気配は無い。しょうがないので物陰に座り込みながら一息吐く。

 もう変に動くのは諦めようかと思っていれば、急に頭にかぶっていた布を引き剥がされた。



「な、何?!……って、葵さん?」

「せやで〜。勝手にいなくならんといてや。探すの手間取ったやん」



 慌てて振り向いた先にいたのは、見慣れた白銀と翡翠。今の今まで灯が探していた、魅狐葵その人だった。
 探すのに手間取ったなどと言ってきるが、実際先に灯の前からいなくなったのは葵の方である。私が叱られる筋合いは無いじゃないかとも灯は思ったが、面倒なので黙ることにした。



「ま、布ちゃんと被っとるようで安心したわ。それ、狐の術がかかってんねん。天照灯を知っている奴がアンタを見ても、それ被ってれば全く関係ない。別人に見えるでな」

「そんなすごいものだったの……!?」

「せや。もっと褒めてくれてもいいんやで?」

「勿論褒めるわ。本当にありがとう!」

「……おー、うん、まあ……こちらこそ感謝やわ。
 ……クッソ、調子狂う」

「? どうかした?」

「なんもないわ!」



 灯が葵を褒めた後葵がぼそりと小さくつぶやいた言葉は、幸か不幸か、灯に聞こえてはいなかった。
 少し朱に染まった方をすぐに冷まし、いつものような笑みを浮かべて葵は灯の前に立つ。



「……てことで、アンタは今、俺がその辺で拾った人間の迷い子ってことにしてある。そうすれば、裏ルート使って日ノ本に行くことも可能やからな」

「本当!?」

「勿論や」



 狐だけに限らず、あやかしは日ノ本を筆頭とするいくつかの国に隠れ里を持っている。そしてその力を持って裏社会などで暗躍している。
 故に、その隠れ里同士を繋ぐ秘密の転送装置があるのだ。これを使えば日ノ本まで一っ飛びである。



「いや、これ普通に犯罪では?」

「存在するだけで穢れだのなんだの言われるんやからこれくらいノーカンやノーカン」

「……ごめんなさい」

「アンタの話やないわ」



 こういう妖なりの自虐ネタ、とても心臓に悪い。