四月四日。橘田学園は入学式&始業式だ。満開のソメイヨシノが学校の周りを彩っている。おれと杉本は無事二年生に進級した。
「また同じクラスになれで良かったな。席も前後だし」
ホームルーム前。前の席の杉本が嬉しそうに絡んできた。
「その後親友くんとはどうなんだ? 春休みどこかに行ったか?」
「ん~? なんか資格試験が大変らしくて夢の国に行ったくらいだよ。ほらこれ」
お揃いのカチューシャをした写真を見せると「ラブラブだな」と笑いをこらえていた。肩を抱き合ったり頬を寄せ合ったり、我ながら浮かれていると思う。日帰りだったけど往復の電車も含めてすごく楽しかった。疲れて寝落ちしている理央の写真もこっそり撮れたし。
――ピロリン、とスマホが鳴った。理央からだ。
『朔おはよー。今日は始業式だね!』
今日は橘田学園も始業式だけど桜が丘西も同じなんだな。
『おはよ。こっちも始業式。半日で終わるから昼にフードコートで会えないか? どこか遊びに行ってもいいけど』
『嬉しいけど今日はちょっと忙しいかも~』
またか、とちょっぴり寂しい気持ちになる。春休みも夢の国に出かけた以外は近場で数時間デートしただけだ。正直もっとイチャイチャしたい。
『また資格の関係? それとも生徒会関係?』
『あれ言ってなかったっけ? 生徒会は去年の文化祭が終わってすぐやめたんだよ。あと、学校も先月やめた』
へぇ、生徒会と学校はもうやめ――……。
「学校をやめたぁっ!!??」
椅子を蹴ってち上がると周りの視線が一斉に振り向いた。
やばい、と焦っているとタイミングよく担任の先生が入ってきた。さり気なく着席してスマホを握り直す。理央からは次のメッセージが入っていた。
『朔がいないなら西校にいる意味はない。そう思ったから内緒で動いてたんだ。テスト勉強と称して授業の進捗を確認したり、親を説得するためにテストで上位目指したり、生徒会活動で内申良くしたり頑張ったよ。試験も大変だった。会ったら褒めてほしいな』
先生がパンパンと手を叩く。
「はい。皆さん静かにしてください。今日から二年生になりますが、まずは転入生を紹介します。……どうぞ入ってください」
「転入生?」「珍しいね」「イケメンだったらどうしよう〜」と呑気だった生徒たちが急に静まり返ったかと思うと、一転、黄色い悲鳴に包まれた。杉本が「おいおいおいおい!!」と机を叩いてくる。スマホに意識が向いていたおれはゆっくりと視線を上げた。
すらりと背が高く、顔は小さい。モデルのようにスタイル抜群の転入生が正面を向いた。橙色のネクタイがよく似合っている。
教室内をぐるりと見回した後、おれに焦点を合わせた。
「――はじめまして。桜が丘西から転校してきました、五十嵐理央です」
にこにこと人懐こい笑顔を浮かべながらおれの方に手を伸ばす。
「実はそこにいる天宮朔くんとお付き合いしています。もし大好きな彼ピに近づく輩がいたら男女問わず容赦しないので覚悟してくださいね。これから宜しくお願いします」
次の瞬間、教室内に(おれを含む)絶叫が響き渡ったのは言うまでもない。
スマホにはこんなメッセージが送信されていた。
『だから言ったでしょ? ずっと一緒にいようねって』
おしまい
「また同じクラスになれで良かったな。席も前後だし」
ホームルーム前。前の席の杉本が嬉しそうに絡んできた。
「その後親友くんとはどうなんだ? 春休みどこかに行ったか?」
「ん~? なんか資格試験が大変らしくて夢の国に行ったくらいだよ。ほらこれ」
お揃いのカチューシャをした写真を見せると「ラブラブだな」と笑いをこらえていた。肩を抱き合ったり頬を寄せ合ったり、我ながら浮かれていると思う。日帰りだったけど往復の電車も含めてすごく楽しかった。疲れて寝落ちしている理央の写真もこっそり撮れたし。
――ピロリン、とスマホが鳴った。理央からだ。
『朔おはよー。今日は始業式だね!』
今日は橘田学園も始業式だけど桜が丘西も同じなんだな。
『おはよ。こっちも始業式。半日で終わるから昼にフードコートで会えないか? どこか遊びに行ってもいいけど』
『嬉しいけど今日はちょっと忙しいかも~』
またか、とちょっぴり寂しい気持ちになる。春休みも夢の国に出かけた以外は近場で数時間デートしただけだ。正直もっとイチャイチャしたい。
『また資格の関係? それとも生徒会関係?』
『あれ言ってなかったっけ? 生徒会は去年の文化祭が終わってすぐやめたんだよ。あと、学校も先月やめた』
へぇ、生徒会と学校はもうやめ――……。
「学校をやめたぁっ!!??」
椅子を蹴ってち上がると周りの視線が一斉に振り向いた。
やばい、と焦っているとタイミングよく担任の先生が入ってきた。さり気なく着席してスマホを握り直す。理央からは次のメッセージが入っていた。
『朔がいないなら西校にいる意味はない。そう思ったから内緒で動いてたんだ。テスト勉強と称して授業の進捗を確認したり、親を説得するためにテストで上位目指したり、生徒会活動で内申良くしたり頑張ったよ。試験も大変だった。会ったら褒めてほしいな』
先生がパンパンと手を叩く。
「はい。皆さん静かにしてください。今日から二年生になりますが、まずは転入生を紹介します。……どうぞ入ってください」
「転入生?」「珍しいね」「イケメンだったらどうしよう〜」と呑気だった生徒たちが急に静まり返ったかと思うと、一転、黄色い悲鳴に包まれた。杉本が「おいおいおいおい!!」と机を叩いてくる。スマホに意識が向いていたおれはゆっくりと視線を上げた。
すらりと背が高く、顔は小さい。モデルのようにスタイル抜群の転入生が正面を向いた。橙色のネクタイがよく似合っている。
教室内をぐるりと見回した後、おれに焦点を合わせた。
「――はじめまして。桜が丘西から転校してきました、五十嵐理央です」
にこにこと人懐こい笑顔を浮かべながらおれの方に手を伸ばす。
「実はそこにいる天宮朔くんとお付き合いしています。もし大好きな彼ピに近づく輩がいたら男女問わず容赦しないので覚悟してくださいね。これから宜しくお願いします」
次の瞬間、教室内に(おれを含む)絶叫が響き渡ったのは言うまでもない。
スマホにはこんなメッセージが送信されていた。
『だから言ったでしょ? ずっと一緒にいようねって』
おしまい
