中学三年の三月、おれは親友にさよならを言った。
『もう会わないって……――なんでそんなこと言うんだよ。ヤだよ、朔(さく)、俺は……』
スマホの向こうから消え入りそうな声が聞こえてくる。でもおれの心は揺れなかった。嵐のあとのように凪いで、もう涙も出てこない。
「なにも一生会わないってわけじゃないよ。進学する高校が別なんだから必然的に会わなくなるって言っただけ。理央(りお)も新しい友だちや彼女ができるかもしれないじゃん。だから無理してまで会うのはよそうって、そういう意味だよ」
手元にあった合格祈願のお守りをぎゅっと握りしめた。アイツとお揃いの、桜色のお守りだ。
『……朔は、それでいいの?』
静かな問いかけに、心が波立つ。
良くない。でも駄々をこねても現実は変わらないのだ。また涙が込み上げてくるのを必死にこらえた。
「ごめん、理央。本当にごめん……全部おれが悪いんだ……もう電話かけてこないで欲しい……つらい」
電話を切ろうとした直前に必死な叫びが聞こえてきた。
『俺は絶対にイヤだ! どんな手を使っても――』
ぷつっ、と電話が切れた。通話画面が切り替わり、さっまで見ていた専用サイトの画面が浮かび上がった。
『不合格』と表示されている。
同じ高校に行こうと理央と約束していたのに、おれが破ってしまったのだ。
「なんで不合格なんだよ……なんで行けないんだよ、理央と同じ高校……」
横隔膜がはげしく上下して、涙を押し出す。スマホの電源を切り、八つ当たりするようにベッドに投げた。そのまま体を投げ出して枕をぎゅっと抱きしめる。絶望という名の底なし沼におれ一人だけ沈んでいくようだった。
「おれ、どうしたらいいんだ……? おしえてくれよ……たすけてくれよ……理央」
サクラチル。
夢にまで見た理央との高校生活は、始まる前に終わってしまった。
『もう会わないって……――なんでそんなこと言うんだよ。ヤだよ、朔(さく)、俺は……』
スマホの向こうから消え入りそうな声が聞こえてくる。でもおれの心は揺れなかった。嵐のあとのように凪いで、もう涙も出てこない。
「なにも一生会わないってわけじゃないよ。進学する高校が別なんだから必然的に会わなくなるって言っただけ。理央(りお)も新しい友だちや彼女ができるかもしれないじゃん。だから無理してまで会うのはよそうって、そういう意味だよ」
手元にあった合格祈願のお守りをぎゅっと握りしめた。アイツとお揃いの、桜色のお守りだ。
『……朔は、それでいいの?』
静かな問いかけに、心が波立つ。
良くない。でも駄々をこねても現実は変わらないのだ。また涙が込み上げてくるのを必死にこらえた。
「ごめん、理央。本当にごめん……全部おれが悪いんだ……もう電話かけてこないで欲しい……つらい」
電話を切ろうとした直前に必死な叫びが聞こえてきた。
『俺は絶対にイヤだ! どんな手を使っても――』
ぷつっ、と電話が切れた。通話画面が切り替わり、さっまで見ていた専用サイトの画面が浮かび上がった。
『不合格』と表示されている。
同じ高校に行こうと理央と約束していたのに、おれが破ってしまったのだ。
「なんで不合格なんだよ……なんで行けないんだよ、理央と同じ高校……」
横隔膜がはげしく上下して、涙を押し出す。スマホの電源を切り、八つ当たりするようにベッドに投げた。そのまま体を投げ出して枕をぎゅっと抱きしめる。絶望という名の底なし沼におれ一人だけ沈んでいくようだった。
「おれ、どうしたらいいんだ……? おしえてくれよ……たすけてくれよ……理央」
サクラチル。
夢にまで見た理央との高校生活は、始まる前に終わってしまった。
