「でね! ’Afterglow’ をついにライブで聴けたの。幻の曲だよ? 信じられない!」
「……っ」
その言葉に、息が詰まりそうなほど喉が熱くなる。
三年前、彼らがメジャーデビューと共にリリースしたアルバムに、’Afterglow’ は入っていなかった。
私と奏音を繋ぐ、たったひとつの記憶が欲しかった。
あの夜のぬくもりも、掠れた声も、届かなかった想いも、失いたくなかったから。
リリースされなかった理由を、私は知らない。
けれど星の数ほどある曲の中から、漏れるなんてよくある話だと、静かな落胆を納得に封じ込めた。
「ほらぁ。Ashは幻の曲があるって前言ったでしょ? その曲だよ」
「そう……だったね」
同僚いわく、メンバーの誰かが「あの曲はボツになったんじゃない」「ハノンの意思で音源化も映像化もしない」とどこかで語ったという。特別なライブの夜、ハノンの気まぐれでセットリストに入れられると。
必死にチケットを取って、ライブに足を運んでも、ずっと聴くことができなかった、って。
感動の涙を滲ませながら、熱く語る同僚がうらやましかった。心の底から。
配信スタジオの業務が残っているからと、先に同僚は控え室を去り。
私はひとり、取り残された。
「わぁ。豪華な写真集みたい」
ずっしりと重いパンフレットを手に取ると、そっとページを捲る。
