Afterglow ー名称未設定のプレイリストー

 行き場を失い、力なく歩き出したオレが辿り着いたのは、いつかのコインランドリー。

 ガラッと引き戸を開け、足を踏み入れれば──あの雨の夜と同じ。そこには誰もいなかった。 
 今日は窓に打ちつける雨の代わりに、夕闇の鈍い残光がこぼれ落ちる、静かな空間。

 ……きっとここは、過去と未来の真ん中だ。
 朧げな記憶の輪郭をなぞり、溶けてゆく感傷に身を任せる場所。


『あの…さっきの歌、すごく素敵でした。天使が歌っているのかと』


 いつかの彼女の言葉に、唇が誘われるように歌い出す。


 あの夜、彼女と過ごした時間。
 流れ星が降ってきた帰り道。
 朝の淡い光の中で交わした言葉。
 すべてが、遠い夢のように霞んでいく。


 もう二度と会えなくても、きっと信じているものは他の誰よりも同じだった。
 この感情だけは手放したくない──今ここに、なにもかも閉じ込めればいい。


 オレはテーブルに近づき、渡せなかったCDと手紙を置くと、そっと呟いた。


「これで永遠になった」