Afterglow ー名称未設定のプレイリストー

「承諾、誠にありがとうございます。それでは……」

 私の言葉に、マネージャーがホッと安堵のため息をついた。
 そのまま差し出されたのは、誓約書と書かれた書類。
 
 もう二度と会わないこと、接近しないこと。
 それにはライブ等も含まれ、Ashに関連するイベントへの出入りは禁止。
 
 それから──連絡先の削除。

 バッグの中から取り出した、スマホを持つ手が震えた。
 削除したって、その番号を覚えていたら……そんな淡い願いは、簡単に打ち砕かれる。

 自分の手で削除する、ただそれだけの行為が。

 どれだけ心を折り、胸を抉るのか、知らなかった。
 

「今回のAshライブツアーのファイナル、東京公演のゲストリストにお名前がありましたので、チケットをご用意しておりましたが……」

 
 テーブルに置かれた、チケットの入った細長い封筒。

 私が小刻みに震える指を伸ばすよりも早く、マネージャーがそれを奪う。
 紙封筒からそのままゆっくりとチケットを取り出した。

 ピリ、と。

 紙が破れる音がした。

 Ash、Live、Final in Tokyo……

 紙に綴られた文字が、バラバラの破片になり、机に落ちてゆく。
 なんの価値もない破片になったそれを見ても、涙すら出てこなかった。

 ただ、終わったんだなと。
 それだけはぼんやりと理解していた。