Afterglow ー名称未設定のプレイリストー

•┈┈┈••✦☪︎✦••┈┈┈•

 ’Ashのハノン’ がそこにいた。

 ステージの照明が落ち、ライブハウスが一瞬の静寂に包まれる。
 次の瞬間、スポットライトが中央に立つ人物を捉えた。

 光を浴びてキラキラと輝く金色の髪が揺れる。
 長いまつ毛の奥の瞳が、私を、観客を、一瞬で飲み込んでいく。 

 幻想的な天使にも退廃的な悪魔にもなれる、どこか郷愁を誘うメランコリックな空気を纏った、美しいヒト。
 
 これが本当に、あの夜のコインランドリーで出会った奏音なの?

 ステージの上で鮮やかに生きる彼の、どこまでも伸びやかに響き渡る声は、時に激しく、そのまま身を滅ぼしそうなほどエモーショナルだった。
 
 切なく、どこか壊れそうな歌声が、私の胸の奥を抉るように広がっていく。


 ギターの音が響き渡る。
 まるで空気を切り裂くような、鋭いカッティング。

 それに呼応するような観客の叫びに、ライブハウスの熱気が最高潮に達したのがわかった。

 ドラムやベースの音とも相まって──ザラっとした低音がお腹の底まで響く。ギターの指先から溢れる音が、変幻自在に空気を震わせる。ステージも、音も、Ashという存在そのものも。このギターが支配しているんだって、ほんの数秒で納得してしまうほどに。

 ……彼の名前は、ハヤトという。


 ハヤトの視線がハノンを捉えると、ハノンの歌声がわずかに強く、鋭くなる。
 その歌声に応えるように、ギターの音色はより深く、煌めきを増す。

 まるで互いを求め、縛りつけるように絡み合い、
 ライブハウスをひとつの巨大な鼓動に変えていった。


「あぁ……この感覚、取り戻せた」


 私は熱狂と興奮の渦に飲み込まれながら、胸の奥で熱く疼く想いを抑えきれなかった。