歌声のとなりで


第14話 本当の気持ち

合唱コンクールの結果発表が終わったあと。

体育館の外は少し静かになっていた。

クラスのみんなは喜んだり、写真を撮ったりしている。

俺――奥本淕怕は、廊下の窓の近くに立っていた。

そのとき。

「奥本」

静かな声がする。

振り向くと、安藤琥怕がいた。

「少し話せる?」

「いいけど」

二人で廊下の端まで歩く。

窓から夕方の光が入ってきていた。

少し沈黙が流れる。

そして安藤が言った。

「この前」

「奥本、言ったよね」

「俺のこと気になるって」

「ああ」

思い出して、少し恥ずかしくなる。

すると安藤は少しだけ笑った。

「嬉しかった」

「え?」

「ずっと言えなかったから」

「何を?」

聞くと、安藤は少しだけ深く息を吸った。

それから静かに言った。

「俺」

「奥本のこと好き」

時間が止まったみたいだった。

「……ほんとか」

「うん」

安藤はまっすぐ俺を見る。

「一年のときから気になってた」

「でも話すきっかけなくて」

「合唱で同じパートになったとき」

少しだけ笑う。

「すごく嬉しかった」

胸が強くドキドキする。

俺は言った。

「俺も」

「たぶん好きだ」

そう言うと、

安藤の目が少し柔らかくなった。

「奥本」

「ん?」

「俺たち」

少しだけ照れた顔で言う。

「付き合う?」

一瞬だけ沈黙。

でも答えは決まっていた。

「……うん」

そう言うと、

安藤は静かに笑った。

「よかった」

その笑顔を見て思う。

合唱コンクールがなかったら。

音楽室で倒れなかったら。

俺たちはきっと、ここまで近くならなかった。

そしてもうすぐ――

最後の話。