次の日のホームルーム。
教室はいつもよりざわざわしていた。
担任の先生が黒板の前で言う。
「来月、文化祭がある」
その言葉に、クラスが一気に盛り上がる。
「やった!」
「何やる?」
「屋台やりたい!」
いろんな声が飛び交う。
私はその様子をぼんやり見ていた。
文化祭。
楽しいイベント。
みんなはそう思っている。
でも私は少しだけ胸が重くなる。
人が多い場所。
大きな音。
にぎやかな声。
全部、少し怖い。
先生が続ける。
「まず文化祭の実行係を決める」
教室が少し静かになる。
誰も手を挙げない。
そういう係は大変だからだ。
先生はため息をつく。
「じゃあ推薦でもいいぞ」
そのとき。
前の席の男子が言った。
「神崎とかいいんじゃね?」
教室の何人かが笑う。
蒼真は静かに座っている。
先生が言った。
「神崎、どうだ?」
蒼真は少し考えてから答えた。
「別にいいです」
あっさり決まった。
先生が黒板に名前を書く。
文化祭係:神崎蒼真
すると今度は女子の声が上がった。
「もう一人女子ほしいよね」
「誰にする?」
そのとき。
誰かが言った。
「一ノ瀬とか?」
私はびっくりして顔を上げた。
「え?」
クラスの何人かがうなずく。
「静かだしちゃんとやりそう」
「確かに」
先生がこちらを見る。
「一ノ瀬、どうだ?」
頭が真っ白になる。
文化祭係。
つまり文化祭の準備。
人がたくさん集まる場所。
音もきっと多い。
無理かもしれない。
断ろうとした、そのとき。
後ろから声がした。
「大丈夫」
小さな声。
振り返ると、蒼真だった。
蒼真は静かに言う。
「一人じゃない」
その言葉を聞いた瞬間。
少しだけ胸の緊張がゆるむ。
私はゆっくり言った。
「……やります」
教室から拍手が起きた。
「決まり!」
先生が黒板に書く。
文化祭係:神崎蒼真・一ノ瀬小春
ホームルームが終わったあと。
蒼真が私の席に来た。
「無理してない?」
私は少し笑った。
「ちょっとだけ」
正直に言う。
蒼真はうなずいた。
「無理なら途中でやめてもいい」
「そんな簡単に?」
「いいと思う」
蒼真は当たり前のように言う。
私は少し驚いた。
でも、その言葉が少し安心する。
蒼真は続けた。
「できるところだけやればいい」
私は小さくうなずいた。
そのとき、クラスの女子が声をかけてきた。
「一ノ瀬!」
私は振り返る。
「文化祭、ステージあるんだけどさ」
「音響の手伝いお願いできる?」
その瞬間。
胸がドクンと大きく鳴る。
音響。
つまり——
大きな音。
頭の奥が少しざわつく。
私はうまく返事ができない。
そのとき。
蒼真が言った。
「俺もやる」
女子は笑う。
「じゃあ二人でお願い!」
そう言って去っていった。
私は蒼真を見る。
「いいの?」
蒼真は言った。
「一人じゃないって言っただろ」
その言葉を聞いたとき。
不安はまだ消えていないのに。
なぜか少しだけ——
やってみようと思えた。
文化祭まで、あと一か月。
それが、
私の心を大きく変える出来事になるなんて。
まだ、このときは知らなかった。
教室はいつもよりざわざわしていた。
担任の先生が黒板の前で言う。
「来月、文化祭がある」
その言葉に、クラスが一気に盛り上がる。
「やった!」
「何やる?」
「屋台やりたい!」
いろんな声が飛び交う。
私はその様子をぼんやり見ていた。
文化祭。
楽しいイベント。
みんなはそう思っている。
でも私は少しだけ胸が重くなる。
人が多い場所。
大きな音。
にぎやかな声。
全部、少し怖い。
先生が続ける。
「まず文化祭の実行係を決める」
教室が少し静かになる。
誰も手を挙げない。
そういう係は大変だからだ。
先生はため息をつく。
「じゃあ推薦でもいいぞ」
そのとき。
前の席の男子が言った。
「神崎とかいいんじゃね?」
教室の何人かが笑う。
蒼真は静かに座っている。
先生が言った。
「神崎、どうだ?」
蒼真は少し考えてから答えた。
「別にいいです」
あっさり決まった。
先生が黒板に名前を書く。
文化祭係:神崎蒼真
すると今度は女子の声が上がった。
「もう一人女子ほしいよね」
「誰にする?」
そのとき。
誰かが言った。
「一ノ瀬とか?」
私はびっくりして顔を上げた。
「え?」
クラスの何人かがうなずく。
「静かだしちゃんとやりそう」
「確かに」
先生がこちらを見る。
「一ノ瀬、どうだ?」
頭が真っ白になる。
文化祭係。
つまり文化祭の準備。
人がたくさん集まる場所。
音もきっと多い。
無理かもしれない。
断ろうとした、そのとき。
後ろから声がした。
「大丈夫」
小さな声。
振り返ると、蒼真だった。
蒼真は静かに言う。
「一人じゃない」
その言葉を聞いた瞬間。
少しだけ胸の緊張がゆるむ。
私はゆっくり言った。
「……やります」
教室から拍手が起きた。
「決まり!」
先生が黒板に書く。
文化祭係:神崎蒼真・一ノ瀬小春
ホームルームが終わったあと。
蒼真が私の席に来た。
「無理してない?」
私は少し笑った。
「ちょっとだけ」
正直に言う。
蒼真はうなずいた。
「無理なら途中でやめてもいい」
「そんな簡単に?」
「いいと思う」
蒼真は当たり前のように言う。
私は少し驚いた。
でも、その言葉が少し安心する。
蒼真は続けた。
「できるところだけやればいい」
私は小さくうなずいた。
そのとき、クラスの女子が声をかけてきた。
「一ノ瀬!」
私は振り返る。
「文化祭、ステージあるんだけどさ」
「音響の手伝いお願いできる?」
その瞬間。
胸がドクンと大きく鳴る。
音響。
つまり——
大きな音。
頭の奥が少しざわつく。
私はうまく返事ができない。
そのとき。
蒼真が言った。
「俺もやる」
女子は笑う。
「じゃあ二人でお願い!」
そう言って去っていった。
私は蒼真を見る。
「いいの?」
蒼真は言った。
「一人じゃないって言っただろ」
その言葉を聞いたとき。
不安はまだ消えていないのに。
なぜか少しだけ——
やってみようと思えた。
文化祭まで、あと一か月。
それが、
私の心を大きく変える出来事になるなんて。
まだ、このときは知らなかった。



