春、君が消えて、アイツに惹かれた


 和哉のことを調べないと。

 校庭に出て、辺りを見回す。ここで殺されたんだよな。

 やっぱ久遠なのかなあ。それが一番有力な気がする。

「え?」

 バレー部の山岡先生が校庭にいた。

「先生」

「あ、日高くんか。久しぶりだね」

「はい。今は授業はないんですか」

「ああ。留喜くん和哉くんのことなんだけれど、久遠が殺したみたいなんだ」

 それからすぐに警察が久遠の家に行って、和哉を殺した罪で久遠は少年院送りが決まった。

 今なら料理ができる気がする。

 俺はキッチンに行って、チョコレートを砕いた。手が震えていない! 砕いたのを湯煎にかけて、ホットチョコレートを作る。

 インターホンを押して、飯田先生が出てくるのを待つ。

「ん? どうした留喜」
 
 ドアを開けて、飯田先生は首をかしげる。

「先生、料理できた!」

 できたてのホットチョコレートが入った水筒を飯田先生に渡す。

「料理? あっ、超良い匂いする。最高」

 水筒のふたを開けて、先生はホットチョコレートの匂いを嗅ぐ。

「本当ですか?」

「もちろん。でかした、留喜」
 
 嬉しさが込み上げて来て、飯田先生に抱き着く。

「うおっ、あぶね!」

 飯田先生は慌てて、帽子スタンドの空いたところに水筒を置く。

「先生……好き」

 あっ。思ったことをそのまま口に出してしまった。まずい。どうしよう。

「留喜、俺教師なんだよ。お前のことは好きだけどな」

 は? 今なんて?

「嘘ですか?」

「嘘じゃない、一番かわいい生徒だって思ってる。だからそうだな……付き合うのは卒業したらな」

 目頭が熱くなる。

「何泣いてんだ、チョコレート飲むぞ」

 ダイニングに案内されて、水筒の中身を分け合って飲んだ。甘くてほっとする。