チョコレートに想いを込めた春、君が消えた

「先生……奏、閉じ込められた。昨日」

 細い声が出る。飯田先生が閉じ込めた犯人だったらどうしよう。信じたいって想いだけで、口が動いてしまった。

「あぁ。泉先生から聞いた」

「奏までいなくなったらどうしよう。最近、変だよ」

 飯田先生が俺の背中を撫でる。

「そうだな。誰かが学校を壊そうとしてるんだよ」

「っ、じゃあそれ止めろよ! あんた教師だろ!」

 八つ当たりしてしまう。

「教師は神様じゃない。でも留喜……お前だけを救うことならできるよ」

 頭を撫でてくれる。

「できないだろ、そんなの」

「できるって。留喜、笑え。ほら」

 ポケットからチョコレートを取り出して、飯田先生は笑う。

「え? 別に俺甘党じゃない」

「じゃあこっち?」

 梅の味のグミやじゃがりこの入ったジップロックがポケットから出てくる。

「えっ、なに先生。和哉の真似?」

 驚いて涙が引っ込む。
 
「そうそう、和哉見てたらお菓子常備すんのいいなと思ったんだよ」

「アハハ! 教師が何してんの」

 笑いながらジップロックを受け取って、じゃがりこを食べる。サラダ味だ。和哉がいつも食べているやつ。

「ほら、笑った。お前のこと救えただろ、俺」

「っ、うん。かもね」

 頷いて、俺はまたじゃがりこを食べる。