チョコレートに想いを込めた春、君が消えた

 試合終了のホイッスルが鳴る。

「終わりーボール片付けろー」

 泉先生の声が響く。カゴの中がボールでいっぱいになっていく。

「奏、日高と一緒にカゴ片付けて来い」

 泉先生に言われる。カゴのそばにいたからか。

「えぇ、なんで俺ら」

「バスケ部しか場所知らないだろ」

 確かに。

「ん。行くか、留喜」

 奏と目を合わせてから、カゴを後ろに動かす。バレーボールの用具の隣にカゴを置く。

「体育館倉庫初めて入った」

 奏は不思議そうに首を傾げる。

「え、なんでだよ」

「和哉がいた時は、体育で暇になるとステージ座って話してて。球技大会も実行委員が片付けしたし」

 目を見開いてから、奏は頷く。

「ここボロいんだよなー。ほら、この跳び箱とか痛みまくり……あ?」

 五段の傷だらけの跳び箱を見て、奏は首をかしげる。パカっと真ん中を開ける。中にロープが置いてあった。

 ものすごく嫌な予感がする。奏は震える手でそのロープをつかむ。

「……は」

 色が違うところがある。黒ずんだ、おぞましい色。繊維はほろぼろで、さわると指が切れそう。

 和哉?

 息が吸えない。

「は、あっ、はぁ」
 声が出ない。

 奏は何も言わず、跳び箱を元に戻す。

「は、何してんの」

「も、戻んねぇと。留喜、俺達は何もみてない。そのフリしないと」

 そうだった。狼狽えたらまずい。見つけてしまったことに、誰かが気づくかも。

「おーい」

 体育館の方から泉先生の声がする。俺と奏は目配せをしてから、泉先生の方へ行く。

 本当に何も見ていなかったらよかったのに。

 犯人が絞られてしまった。

 バレー部かバスケ部かバドミントン部の誰か。それか教師。男女はわからない。

 なんでこんなに次々に判明する。

 証拠を消すのが下手? それとも、わざと隠していない?

 見つけて欲しいのか……?

 どうして。何を企んでいるんだ。