空色の小鳥は、恋をしていた。

 開かずの寮室の前に立つ。
 今までは何も感じなかったが、七不思議の部屋だと知ると、周囲まで薄暗く感じる。
 
(七不思議の部屋なんて、怖くて入りたくない。けど、ここに優希がいるのなら、僕が扉を開けなくちゃ)
 
 震える手でドアノブを握る。
 思い切って捻ったが、開かない。

「鍵が、かかってる」

 やっぱりいないのだろうか。
 それとも、内側から鍵をかけて籠っているんだろうか。

「やっぱり、ドアを叩かないとダメ?」

 ドアノブを離そうとした奏楽の手が痺れた。

「いたっ……何?」

 よく見ると、ドアノブがカタカタと揺れている。

「何、これ……ポルターガイストの前兆みたいな」

 物が浮かび上がる前は、決まって本や家具がガタガタと揺れる。
 奏楽は周囲を見回した。
 こんな場所でポルタ―ガイストが起きたら、誤魔化せない。

(廊下に誰もいないけど、いつ人が来るかわからない)

 そう思って、他の扉のドアノブを眺める。
 他のドアはノブが震えていない。

「この扉だけ?」

 一度離したドアノブに、奏楽はもう一度触れた。
 ドアノブがまた、カタカタと揺れた。

(僕が触れてるから揺れるんだ)

 しかも締まっている鍵が、鍵も刺していないのに回りそうに動く。

(僕なら、開けられるかもしれない)

 息を飲んで、奏楽は両手でノブを握った。
 
「優希……!」

 思いを籠めて、奏楽はドアノブを思い切り回した。
 鍵が、ガチャリと開いた。
 奏楽は息を飲み込んだ。
 ドアノブを捻ると、思い切って扉を開けた。