空色の小鳥は、恋をしていた

 奏楽の熱は一日で下がった。
 感染症検査はいずれも陰性で、次の日には元気になった。
 入れ替わるように、優希が高熱を出した。

(同じ部屋にいたから、うつしちゃったのかな。僕のせいで、染谷がずっと大変な目に遭ってる)

 風邪も、肩の小鳥も、黒い物体も。
 小鳥から変化したらしい黒い塊は、優希の肩に載ったままだ。

(染谷が体調崩したのは、この黒い塊のせい? お祓いとか、するべきなんじゃ……)

 居た堪れなくて、奏楽は昼休み、部屋に戻った。
 
「染谷、大丈夫?」

 二段ベッドの梯子に昇る。
 眠っている優希の頬に触れた。

(まだ熱いけど、朝ほどじゃないかも)

 ほっと胸を撫で下ろす。
 枕元に置いたペットボトルの水が減っている。
 新しいペットボトルにストローを差し替えて、同じ場所に置いた。
 額の冷却シートも温くなっていたので交換した。

(染谷にしてもらった分、ちゃんとお返ししたい……それに)

 優希の肩を、ちらりと覗く。
 黒い塊は、変わらず優希に張り付いている。

(何とかしなくちゃ。染谷からこの黒いの、剥がさなくちゃ)

 恐る恐る手を伸ばす。
 黒い塊が、ぐにゅりと動いた。
 ドキリとして、奏楽は手を引っ込めた。

「僕……ちゃんと考えるから。何とかする方法、探すから」

 言い訳するみたいに呟いて、優希の頬を撫でる。
 布団をかけ直して、奏楽は静かに部屋を出た。