失恋とは、相手が自分を思ってくれず、恋をあきらめなければならない状態になること。
で、誰が誰に? 石神が、俺に?
「はああ?? いつ? どこで?」
俺の動揺っぷりを腹を抱えて石神は大笑いをしている。
「本当にごめん、まじで覚えていない……」
勢いのまま土下座の体制になっていた。石神は相変わらず笑ったままだった。
「いいよ、別に。顔あげて」
そう言って、石神は俺の顎に手を添えてゆっくり上にあげた。
これって……その瞬間、石神はグッと顔を近づけて、ニヤッと笑う。
「顎クイやってみたかったんだよねー」
刹那、体の血液が一気に沸騰したみたいに全身が熱くなる。耳までジンジン痛いくらいに熱い。
「顔まっか、かーわいい」
ほっぺをぷにっと触っては伸ばしたり、好き勝手されている。
なぜだか、抵抗する気がなかった。されるがままに触らせてみる。
どうしてだろう。以前好意があったと言う話を聞いて、それを忘れている自分に罪悪感があるのかもしれない。
それとも、ほっぺを触られるのが、嫌じゃないから……
「ひゃっ、遊ぶな、よ…」
唇っ、触られた? 咄嗟に自分の手で口元を覆い隠す。
石神はずっとニヤニヤしていた、のに、その時だけは真っ直ぐに俺のことを見ていた。
沈黙の時間が流れる。
お互い見つめたまま動かなかった。石神の視線から逃れられない。全身が拘束されているみたいに、動くことができなかった。
緊張と恥ずかしさがどんどん強くなる。心臓の音が身体中に響く。
笑っていない石神の顔は驚くほどかっこよく見えた。
いつもヘラヘラしないで、この表情でいればいいのに……
『キーーンコーーンカーーンコーーンキーーンコーーンカーーンコーーン』
沈黙を切り裂いたのは昼休み終了のチャイムの鐘の音だった。
先に目を逸らしたのは俺だった。急いで立ち上がり、恥ずかしさのあまりすぐに背を向けてしまった。
「その会ったことあること、忘れててごめん。多分、石神にとっては強く残る記憶だったのかもしれないけど、俺は思い出せない。でも、俺ってその記憶思い出したほうがいいの? 石神にとって失恋なんでしょ、なんでわざわざもう一回言ったの」
「知りたい?」
「そりゃ、知りたいよ」
ぴょんっと俺の隣に現れる石神、そのまま手を伸ばし、もう一度俺の唇をフニッと押す。
「何すんだよっ」
「好きなんだよ、ずっと」
真剣な表情、からすっとイタズラな笑みに変わっていく。
「俺の伴奏者になってほしい。コンクールが終わったら全部教えてあげる」
「え、伴奏者は絶対なの」
「うん、絶対。別にやらなくてもいいよ。知りたくないならね」
正直、めっちゃ気になる。いつ告白されたとか、どこでされたとか。
人生で告白なんてされたことないと思ってたから、いざされてたって聞かされて知りたくないわけないでしょ。
いくら過去の話でも自分のこと好きだったとか聞きたくなるもんでしょ。
それに、俺のピアノやりたくない理由と、石神は関係ないし……
「わかった、やるよ伴奏者」
「やったー、ありがと。これで伴奏者の御花の姿を指揮者の位置から独占できる」
……今なんて? 忘れていたはずのワードを耳にした。
その様子を石神は全部わかっているかの様子だった。
石神は屋上の扉を開いて中へ入っていく、急いで後を追うがさっきまでの羞恥心とかそう言うものが、今の言葉で全部なくなった。
「石神、さっきなんて言った?」
「ん、だから、伴奏者の御花の姿を指揮者の位置から独占できる」
そんな言い方、あまり使わないだろう。
それなのにこんなに胸がざわつくのは、過去に自分が使ったワードと全く一緒だからだろうか?
「独占って、なんかあんまりしっくりこないな」
「そう? 御花も昔言ってたじゃん」
ドクン、、、、心臓が耳から出そうになった。
思わず足を止めて数段下にいる石神をじっと見た。
俺はこいつとどこで会ったんだ。まさか小6のあの時……? あの場所にいたのか……?
不意に石神が振り向いて、ニコッと笑う。
「伴奏者の姿を独占できるポジションって、指揮者だよね」
『指揮者の姿を独占できるポジションって、伴奏者だよね』
今、石上が言った言葉と過去に俺が言った言葉が重なった。
思い出したくなかった言葉をまんま使いやがった。
だってこのことを伝えたのは、俺の初恋の女の子だったから。
独占したいなんて、相手に正直に伝えるなんて今の俺じゃ考えられない。
幼くて馬鹿な自分の姿をもう二度と思い出したくなかったのに、過去の羞恥心を一気に蘇らせたこいつは悪魔なのか?
「これでもまだ思い出さない? 好きな人は独占したい、わかる。けどそのワードは重要じゃないんだよ」
最後に意味深な言葉を残してさっさと歩いていってしまった。
あの感じ、俺の過去のことを知っている。
やっぱり小6のあの時と石神は関係があったのか。いくら記憶を蘇らせても、石神と思われる人が見つからない。
あの頃の記憶はいつだって別の人だった……
とにかく、合唱コンクールを無事に終わらせて、最後にネタバラシを一気にまとめてしてもらうしかない。
で、誰が誰に? 石神が、俺に?
「はああ?? いつ? どこで?」
俺の動揺っぷりを腹を抱えて石神は大笑いをしている。
「本当にごめん、まじで覚えていない……」
勢いのまま土下座の体制になっていた。石神は相変わらず笑ったままだった。
「いいよ、別に。顔あげて」
そう言って、石神は俺の顎に手を添えてゆっくり上にあげた。
これって……その瞬間、石神はグッと顔を近づけて、ニヤッと笑う。
「顎クイやってみたかったんだよねー」
刹那、体の血液が一気に沸騰したみたいに全身が熱くなる。耳までジンジン痛いくらいに熱い。
「顔まっか、かーわいい」
ほっぺをぷにっと触っては伸ばしたり、好き勝手されている。
なぜだか、抵抗する気がなかった。されるがままに触らせてみる。
どうしてだろう。以前好意があったと言う話を聞いて、それを忘れている自分に罪悪感があるのかもしれない。
それとも、ほっぺを触られるのが、嫌じゃないから……
「ひゃっ、遊ぶな、よ…」
唇っ、触られた? 咄嗟に自分の手で口元を覆い隠す。
石神はずっとニヤニヤしていた、のに、その時だけは真っ直ぐに俺のことを見ていた。
沈黙の時間が流れる。
お互い見つめたまま動かなかった。石神の視線から逃れられない。全身が拘束されているみたいに、動くことができなかった。
緊張と恥ずかしさがどんどん強くなる。心臓の音が身体中に響く。
笑っていない石神の顔は驚くほどかっこよく見えた。
いつもヘラヘラしないで、この表情でいればいいのに……
『キーーンコーーンカーーンコーーンキーーンコーーンカーーンコーーン』
沈黙を切り裂いたのは昼休み終了のチャイムの鐘の音だった。
先に目を逸らしたのは俺だった。急いで立ち上がり、恥ずかしさのあまりすぐに背を向けてしまった。
「その会ったことあること、忘れててごめん。多分、石神にとっては強く残る記憶だったのかもしれないけど、俺は思い出せない。でも、俺ってその記憶思い出したほうがいいの? 石神にとって失恋なんでしょ、なんでわざわざもう一回言ったの」
「知りたい?」
「そりゃ、知りたいよ」
ぴょんっと俺の隣に現れる石神、そのまま手を伸ばし、もう一度俺の唇をフニッと押す。
「何すんだよっ」
「好きなんだよ、ずっと」
真剣な表情、からすっとイタズラな笑みに変わっていく。
「俺の伴奏者になってほしい。コンクールが終わったら全部教えてあげる」
「え、伴奏者は絶対なの」
「うん、絶対。別にやらなくてもいいよ。知りたくないならね」
正直、めっちゃ気になる。いつ告白されたとか、どこでされたとか。
人生で告白なんてされたことないと思ってたから、いざされてたって聞かされて知りたくないわけないでしょ。
いくら過去の話でも自分のこと好きだったとか聞きたくなるもんでしょ。
それに、俺のピアノやりたくない理由と、石神は関係ないし……
「わかった、やるよ伴奏者」
「やったー、ありがと。これで伴奏者の御花の姿を指揮者の位置から独占できる」
……今なんて? 忘れていたはずのワードを耳にした。
その様子を石神は全部わかっているかの様子だった。
石神は屋上の扉を開いて中へ入っていく、急いで後を追うがさっきまでの羞恥心とかそう言うものが、今の言葉で全部なくなった。
「石神、さっきなんて言った?」
「ん、だから、伴奏者の御花の姿を指揮者の位置から独占できる」
そんな言い方、あまり使わないだろう。
それなのにこんなに胸がざわつくのは、過去に自分が使ったワードと全く一緒だからだろうか?
「独占って、なんかあんまりしっくりこないな」
「そう? 御花も昔言ってたじゃん」
ドクン、、、、心臓が耳から出そうになった。
思わず足を止めて数段下にいる石神をじっと見た。
俺はこいつとどこで会ったんだ。まさか小6のあの時……? あの場所にいたのか……?
不意に石神が振り向いて、ニコッと笑う。
「伴奏者の姿を独占できるポジションって、指揮者だよね」
『指揮者の姿を独占できるポジションって、伴奏者だよね』
今、石上が言った言葉と過去に俺が言った言葉が重なった。
思い出したくなかった言葉をまんま使いやがった。
だってこのことを伝えたのは、俺の初恋の女の子だったから。
独占したいなんて、相手に正直に伝えるなんて今の俺じゃ考えられない。
幼くて馬鹿な自分の姿をもう二度と思い出したくなかったのに、過去の羞恥心を一気に蘇らせたこいつは悪魔なのか?
「これでもまだ思い出さない? 好きな人は独占したい、わかる。けどそのワードは重要じゃないんだよ」
最後に意味深な言葉を残してさっさと歩いていってしまった。
あの感じ、俺の過去のことを知っている。
やっぱり小6のあの時と石神は関係があったのか。いくら記憶を蘇らせても、石神と思われる人が見つからない。
あの頃の記憶はいつだって別の人だった……
とにかく、合唱コンクールを無事に終わらせて、最後にネタバラシを一気にまとめてしてもらうしかない。



