アンケート ― 選ばないという選択 ―

物語は、ごく普通の生活を送る女性・三枝美佳のもとに、ある日突然届いた一通の「アンケート」から始まる。

それは、名前も目的も不明な組織から送られてくる、たった二択の質問。
答えはスマートフォン上で簡単に選べるものだった。

最初は軽い気持ちで答えていた美佳だったが、アンケートの内容は次第に現実と結びつき始める。
彼女の選択をきっかけに、身近な人の行動や出来事が微妙に変化し、やがて「偶然」では説明できない出来事が起こり始めるのだ。

やがて美佳は気づく。
このアンケートは、単なる調査ではない。
人の意思をデータ化し、未来や社会そのものを操作するための“仕組み”なのだと。

調査を進める中で、美佳は同じアンケートに関わった人々や、背後で暗躍する組織〈LAPIS〉の存在を知る。

そこでは「多数派の選択こそが正しい未来を作る」という思想のもと、個人の意思が数値として扱われていた。

選ばなければならない。
だが、選ぶことで誰かが犠牲になるかもしれない。

極限の状況で、美佳は問い続ける。
選択とは本当に自由なのか。
答えを迫られること自体が、支配なのではないか。

物語は、サスペンスと心理描写を重ねながら、
「人はなぜ選ぶのか」「選ばされる世界で、どう生きるのか」という根源的なテーマへと踏み込んでいく。

そして終盤、美佳が下す“ある決断”は、
アンケートによって成り立っていた世界の前提そのものを揺るがすことになる。