今週から午前中のみの時短授業になり、テスト返却やレクリエーションなどが主な授業内容になった。
時岡のクラスとほぼ同時に帰りのホームルームが終わったようで、鷲尾たちと教室を出たら高身長トリオも廊下に出てきた。
笠原たちと一緒だし、わざわざ声をかける気はないが、目が合えば良いなと見ていたら
「あのっ…」
視界を遮るように突然声をかけられた。
…あ、この子。
バレンタインにチョコをくれた岩井さんだった。
「あ、ども」
「どうも。…その…近々お昼ごはん一緒に食べれる日あるかな?あ、もちろん2人じゃなくて、何人かで行けたら…」
これは、デートのお誘いってやつ?
「あっ…とぉ…」
好きだと言われたわけでもないし、2人きりでもないから、この場で断るの難しいな…。
「俺も参加していいの?」
話に入ってきたのは時岡だった。
「えっ、あーうん、大丈夫だよ」
「そっち何人で来るの?」
「えっと、3人かな」
「じゃあ、俺と丹羽と…淀金行ける?」
「えっ…行けるけど」
「ならその3人で。日程とか俺と明日決めるのでいい?」
「うん、分かった…」
「じゃ、お疲れ」
「…お疲れ」
一瞬で話を進めた時岡は、笠原たちの所へ戻っていった。残された俺たち4人と岩井さんは、呆気にとられている。
「…えっと、じゃあまた」
「うん…」
ぎこちないやりとりでその場を離れた。
4人でラーメン屋に行き、注文を終えた俺は大きなため息をつく。
「はぁー…」
「自分のモテ期に悩んでんの?」
「ちげーよ」
「つうか、時岡やべーな。さらっと連絡先交換すんの阻止したよな!?え、もしかして目の前でイチャイチャして、自然と諦めさせんのかな?」
「それはねーだろ。付き合ってんの隠してるんだし」
「一番大変なの淀金だな」
「だよな!?カップルの修羅場に巻き込まれた感」
「別に修羅場じゃねーし…」
「他に誰連れてくるか知らねーけど、本人よりも友達が丹羽に質問攻めしてきそうだよな」
「だな」
「彼女とか好きな人いるのって聞かれたらどうすんの?」
「彼女はいないけど好きな人はいる…って答えるしか…」
「なんだよ、そのまだチャンスありますみたいな」
「時岡は複雑だろうな」
「でもさ、彼女いるって言ったらボロ出そうじゃね?架空の彼女作り上げても後々大変だろうし」
「まぁ、そうかぁ」
「とりあえず、時岡に事前に相談しといたら?」
「うん、そうする」
夜、風呂から上がり、電話しようとスマホを持つと、ちょうど時岡から電話がかかってきた。
ータイミング良すぎ。
「もしもし」
「もしもし、今大丈夫だった?」
「うん。俺も電話しようと思ってた」
「以心伝心だね」
「だな」
「…今日勝手に入り込んでごめん」
「いや、時岡が謝ることじゃねーだろ。俺がすぐに断らなかったのがいけないし」
「あの場で断るのは無理でしょ」
「…ですよねー」
「一応確認なんだけど」
「ん、なに?」
「岩井のこと可愛いなとか思ってないよね?」
「いや、思うわけねぇじゃん。俺が可愛いとか、カッコいいって思うのは時岡…だけだし」
「ふふっ、良かった」
「意地悪なこと聞いてくんなって」
「あはは、ごめんごめん」
「つうか、岩井さんやその周りの女子のこと全然分かんねぇんだけどさ、ガンガン絡んでくる感じ?」
「うーん、岩井はどっちかっていうと聞き役かな。一緒にいる子たちがメインで喋ってるイメージ」
「へぇ」
「だからご飯の時も岩井より周りが質問してくると思う」
「なるほど。あ、もし彼女いるか聞かれたら、なんて答えればいい?」
「丹羽はなんて答えるつもりなの?」
「彼女はいないけど好きな人はいるって言おうかなって…」
「なんかそれ、岩井からすればチャンスある感じじゃん」
「淀金たちにもそう言われた…。でも、彼女いるって嘘つくとバレそうだし」
「まぁ、俺彼氏だもんね」
「うん。…つうかさ、岩井さんって俺のこと恋愛として見てんのかな?」
「え」
「いや、チョコもらったし、昼飯も誘われたけど、別に俺に片想いしてるとは限らないじゃん?」
「どの程度の気持ちかは知らないけど、恋愛として気になってるのは事実でしょ」
「そっか」
「なんか意外」
「え?」
「丹羽って女子からモテたらテンション上がって、自慢とかするのかなと思ってたから」
「まぁ、前の俺ならそうなんだけど…チョコもらった時、全然何も感じなくて。時岡がいっぱい貰ってんの羨ましいし、悔しいと思ったはずなのに、何でなんだろって考えてて…今分かったんだけど、俺…時岡以外の好きとか好意どうでもいいみたい」
「…っ」
「この先誰にもモテなくても、逆に何百人にモテても、時岡からの気持ちのことしか興味ないんだと思う。うん、なんか腑に落ちたわ」
「…ねぇ、何でそんなこと電話越しで言うの?…今、めちゃくちゃ抱きしめたいんだけど」
…きゅんっ
電話越しでも、時岡が今どんな顔してるのかなんとなく分かる。きっと、俺の頬が赤く染まっていることもバレてるんだろうな。
2日後の放課後。岩井さんたちが待つファミレスへ向かう俺の足取りは重い。そんな俺の前を歩く淀金と時岡は、いつもと変わらないテンションだ。
店内に入り、奥の席に座る3人を見つけ、時岡を先頭に近づいていく。
「あ、来た」
「お待たせ」
女子側は、岩井さんを真ん中にして座っている。向こうからすれば俺が真ん中に座るのが正解なんだろうけど…
「淀金、先座って」
「お邪魔しまーす」
時岡は一番奥に淀金、自分は真ん中、俺が通路側になるように座らせた。
「もう注文したの?」
「ううん、まだだよ」
注文を終え、女子たちが先にドリンクバーに行った。
「時岡って、紳士に見せかけて策士だよな」
淀金は感心している。
「何が?」
「先にドリンクバー行かせたの、レディファーストの優しさもあるんだろうけど、向こうの座る位置が替わっても、俺らが後なら修正できるもんな」
…あぁ、そーゆーことか。…つうか、淀金も呑気に見えて、意外と状況読めてるんだよなぁ。
案の定、俺たちがドリンク片手に戻ると、岩井さんは通路側に座っていた。
「…。」
今度は俺が一番奥に座り、淀金が通路側に座った。女子たちの、何でだよっ!という視線が痛いが、隣に座る俺の彼氏がそうしたいんだから仕方ない。
ドリンクのおかわりに行くたびにこの熾烈な争いが繰り広げられるんだろうか…。
それぞれ頼んだ品を食いながら、参加したこともない合コンみたいな会話が始まっていく。
「とりあえず、自己紹介しとく?」
「そだね。じゃあ、私たちからするね」
俺の前に座る女子から順に名前を言い、最後に岩井さんが緊張気味に「岩井 佳奈です」と俺をチラッと見ながら言った。
「ていうか、時岡と丹羽くんたちが仲良いのびっくりしたんだけど。いつから仲良しなの?」
「体育祭で活躍するの見て、仲良くなりたいと思って声かけたのがきっかけかな」
さすがに着ぐるみの件を言えるわけもなく、これは事前に決めておいた嘘の理由だ。
「あ、丹羽くんMVP取ってたもんね!」
「リレーで独走してるのカッコよかったもん。ね、佳奈!」
「う、うん。すごく…かっこよかった」
「俺や時岡もリレー活躍したんだけど、覚えてる!?」
「え、淀金くん走ってた?」
「うわーひでー!トップバッター走ったのにー」
「最初かぁ、依田しか見てなかったわ」
しばらくして、女子たちは本題に触れてくる。
「3人は、彼女いるの?時岡はいないよね?」
「うん、彼女はいないよ」
ー彼女“は”ね。
「淀金くんは?」
「俺、一年以上いないんだよ。バイトや友達と遊ぶの楽しんでたら、1年生が終わりかけてた」
「あはは。バイトしてるんだ、どこでしてるの?」
「焼肉屋!まかないが死ぬほど美味いからおすすめ」
「へぇ、なんか明るい雰囲気に似合ってるね」
「でしょ?」
「丹羽くんはいるの?」
「俺は…」
時岡みたいに、彼女はいないで突き通すことも出来るけど…。
「付き合ってる人がいる」
相手が女か男をあえて言わない苦肉の策だ。
「…え、そうなの!?」
「…。」
「仲良い奴にしか言ってないから、ここだけの秘密でお願い」
「そうなんだ…」
岩井さんは明らかにショックを受けている様子。
「ラブラブなんだよな!」
淀金が俺たちへのフォローかつ、岩井さんへの追い打ちをかける。
「うん、まぁ…」
「相手のどこが好きなんだっけ?」
時岡はSっ気を発揮し、意地悪な質問をする。
「俺に対して過保護で優しいとこ…かな」
「もしかして、年上と付き合ってるの?」
「いや、同い年。向こうのほうが大人っつーか…」
ー…っ!
視線は前を向いたままの時岡が、テーブルの下で俺の太ももに手を置いた。
意地悪なのか、独占欲なのか。触れられた部分が熱くなる。
結局、その後は恋バナはせず、他愛のない話で盛り上がり解散した。
「ふぅー、緊張したー。俺、うまくやったよな!?」
「うん、淀金は完璧だった」
「付き合ってくれてありがとな」
「いえいえ。ほんじゃ、また来週な」
「おう、お疲れ」
淀金と別れた俺と時岡は公園に寄った。
「これで諦めてくれたらいいけどね」
ブランコに揺れる俺の前で、時岡はまだ策士の顔をしている。
「だからー、どうでもいいんだって。岩井さんが諦めようが、まだ好きでいようが、俺にはどうでもいい。…つうか、めちゃくちゃ抱きしめるんじゃなかったっけ?」
「外だけどいいの?」
「人がいないうちなら」
…ぎゅっ
ブランコに乗ったままの俺を力強く抱きしめた時岡。俺もぎゅーっと抱きしめ返す。
このお互いの溢れる好き以外どうでもいい。
時岡のクラスとほぼ同時に帰りのホームルームが終わったようで、鷲尾たちと教室を出たら高身長トリオも廊下に出てきた。
笠原たちと一緒だし、わざわざ声をかける気はないが、目が合えば良いなと見ていたら
「あのっ…」
視界を遮るように突然声をかけられた。
…あ、この子。
バレンタインにチョコをくれた岩井さんだった。
「あ、ども」
「どうも。…その…近々お昼ごはん一緒に食べれる日あるかな?あ、もちろん2人じゃなくて、何人かで行けたら…」
これは、デートのお誘いってやつ?
「あっ…とぉ…」
好きだと言われたわけでもないし、2人きりでもないから、この場で断るの難しいな…。
「俺も参加していいの?」
話に入ってきたのは時岡だった。
「えっ、あーうん、大丈夫だよ」
「そっち何人で来るの?」
「えっと、3人かな」
「じゃあ、俺と丹羽と…淀金行ける?」
「えっ…行けるけど」
「ならその3人で。日程とか俺と明日決めるのでいい?」
「うん、分かった…」
「じゃ、お疲れ」
「…お疲れ」
一瞬で話を進めた時岡は、笠原たちの所へ戻っていった。残された俺たち4人と岩井さんは、呆気にとられている。
「…えっと、じゃあまた」
「うん…」
ぎこちないやりとりでその場を離れた。
4人でラーメン屋に行き、注文を終えた俺は大きなため息をつく。
「はぁー…」
「自分のモテ期に悩んでんの?」
「ちげーよ」
「つうか、時岡やべーな。さらっと連絡先交換すんの阻止したよな!?え、もしかして目の前でイチャイチャして、自然と諦めさせんのかな?」
「それはねーだろ。付き合ってんの隠してるんだし」
「一番大変なの淀金だな」
「だよな!?カップルの修羅場に巻き込まれた感」
「別に修羅場じゃねーし…」
「他に誰連れてくるか知らねーけど、本人よりも友達が丹羽に質問攻めしてきそうだよな」
「だな」
「彼女とか好きな人いるのって聞かれたらどうすんの?」
「彼女はいないけど好きな人はいる…って答えるしか…」
「なんだよ、そのまだチャンスありますみたいな」
「時岡は複雑だろうな」
「でもさ、彼女いるって言ったらボロ出そうじゃね?架空の彼女作り上げても後々大変だろうし」
「まぁ、そうかぁ」
「とりあえず、時岡に事前に相談しといたら?」
「うん、そうする」
夜、風呂から上がり、電話しようとスマホを持つと、ちょうど時岡から電話がかかってきた。
ータイミング良すぎ。
「もしもし」
「もしもし、今大丈夫だった?」
「うん。俺も電話しようと思ってた」
「以心伝心だね」
「だな」
「…今日勝手に入り込んでごめん」
「いや、時岡が謝ることじゃねーだろ。俺がすぐに断らなかったのがいけないし」
「あの場で断るのは無理でしょ」
「…ですよねー」
「一応確認なんだけど」
「ん、なに?」
「岩井のこと可愛いなとか思ってないよね?」
「いや、思うわけねぇじゃん。俺が可愛いとか、カッコいいって思うのは時岡…だけだし」
「ふふっ、良かった」
「意地悪なこと聞いてくんなって」
「あはは、ごめんごめん」
「つうか、岩井さんやその周りの女子のこと全然分かんねぇんだけどさ、ガンガン絡んでくる感じ?」
「うーん、岩井はどっちかっていうと聞き役かな。一緒にいる子たちがメインで喋ってるイメージ」
「へぇ」
「だからご飯の時も岩井より周りが質問してくると思う」
「なるほど。あ、もし彼女いるか聞かれたら、なんて答えればいい?」
「丹羽はなんて答えるつもりなの?」
「彼女はいないけど好きな人はいるって言おうかなって…」
「なんかそれ、岩井からすればチャンスある感じじゃん」
「淀金たちにもそう言われた…。でも、彼女いるって嘘つくとバレそうだし」
「まぁ、俺彼氏だもんね」
「うん。…つうかさ、岩井さんって俺のこと恋愛として見てんのかな?」
「え」
「いや、チョコもらったし、昼飯も誘われたけど、別に俺に片想いしてるとは限らないじゃん?」
「どの程度の気持ちかは知らないけど、恋愛として気になってるのは事実でしょ」
「そっか」
「なんか意外」
「え?」
「丹羽って女子からモテたらテンション上がって、自慢とかするのかなと思ってたから」
「まぁ、前の俺ならそうなんだけど…チョコもらった時、全然何も感じなくて。時岡がいっぱい貰ってんの羨ましいし、悔しいと思ったはずなのに、何でなんだろって考えてて…今分かったんだけど、俺…時岡以外の好きとか好意どうでもいいみたい」
「…っ」
「この先誰にもモテなくても、逆に何百人にモテても、時岡からの気持ちのことしか興味ないんだと思う。うん、なんか腑に落ちたわ」
「…ねぇ、何でそんなこと電話越しで言うの?…今、めちゃくちゃ抱きしめたいんだけど」
…きゅんっ
電話越しでも、時岡が今どんな顔してるのかなんとなく分かる。きっと、俺の頬が赤く染まっていることもバレてるんだろうな。
2日後の放課後。岩井さんたちが待つファミレスへ向かう俺の足取りは重い。そんな俺の前を歩く淀金と時岡は、いつもと変わらないテンションだ。
店内に入り、奥の席に座る3人を見つけ、時岡を先頭に近づいていく。
「あ、来た」
「お待たせ」
女子側は、岩井さんを真ん中にして座っている。向こうからすれば俺が真ん中に座るのが正解なんだろうけど…
「淀金、先座って」
「お邪魔しまーす」
時岡は一番奥に淀金、自分は真ん中、俺が通路側になるように座らせた。
「もう注文したの?」
「ううん、まだだよ」
注文を終え、女子たちが先にドリンクバーに行った。
「時岡って、紳士に見せかけて策士だよな」
淀金は感心している。
「何が?」
「先にドリンクバー行かせたの、レディファーストの優しさもあるんだろうけど、向こうの座る位置が替わっても、俺らが後なら修正できるもんな」
…あぁ、そーゆーことか。…つうか、淀金も呑気に見えて、意外と状況読めてるんだよなぁ。
案の定、俺たちがドリンク片手に戻ると、岩井さんは通路側に座っていた。
「…。」
今度は俺が一番奥に座り、淀金が通路側に座った。女子たちの、何でだよっ!という視線が痛いが、隣に座る俺の彼氏がそうしたいんだから仕方ない。
ドリンクのおかわりに行くたびにこの熾烈な争いが繰り広げられるんだろうか…。
それぞれ頼んだ品を食いながら、参加したこともない合コンみたいな会話が始まっていく。
「とりあえず、自己紹介しとく?」
「そだね。じゃあ、私たちからするね」
俺の前に座る女子から順に名前を言い、最後に岩井さんが緊張気味に「岩井 佳奈です」と俺をチラッと見ながら言った。
「ていうか、時岡と丹羽くんたちが仲良いのびっくりしたんだけど。いつから仲良しなの?」
「体育祭で活躍するの見て、仲良くなりたいと思って声かけたのがきっかけかな」
さすがに着ぐるみの件を言えるわけもなく、これは事前に決めておいた嘘の理由だ。
「あ、丹羽くんMVP取ってたもんね!」
「リレーで独走してるのカッコよかったもん。ね、佳奈!」
「う、うん。すごく…かっこよかった」
「俺や時岡もリレー活躍したんだけど、覚えてる!?」
「え、淀金くん走ってた?」
「うわーひでー!トップバッター走ったのにー」
「最初かぁ、依田しか見てなかったわ」
しばらくして、女子たちは本題に触れてくる。
「3人は、彼女いるの?時岡はいないよね?」
「うん、彼女はいないよ」
ー彼女“は”ね。
「淀金くんは?」
「俺、一年以上いないんだよ。バイトや友達と遊ぶの楽しんでたら、1年生が終わりかけてた」
「あはは。バイトしてるんだ、どこでしてるの?」
「焼肉屋!まかないが死ぬほど美味いからおすすめ」
「へぇ、なんか明るい雰囲気に似合ってるね」
「でしょ?」
「丹羽くんはいるの?」
「俺は…」
時岡みたいに、彼女はいないで突き通すことも出来るけど…。
「付き合ってる人がいる」
相手が女か男をあえて言わない苦肉の策だ。
「…え、そうなの!?」
「…。」
「仲良い奴にしか言ってないから、ここだけの秘密でお願い」
「そうなんだ…」
岩井さんは明らかにショックを受けている様子。
「ラブラブなんだよな!」
淀金が俺たちへのフォローかつ、岩井さんへの追い打ちをかける。
「うん、まぁ…」
「相手のどこが好きなんだっけ?」
時岡はSっ気を発揮し、意地悪な質問をする。
「俺に対して過保護で優しいとこ…かな」
「もしかして、年上と付き合ってるの?」
「いや、同い年。向こうのほうが大人っつーか…」
ー…っ!
視線は前を向いたままの時岡が、テーブルの下で俺の太ももに手を置いた。
意地悪なのか、独占欲なのか。触れられた部分が熱くなる。
結局、その後は恋バナはせず、他愛のない話で盛り上がり解散した。
「ふぅー、緊張したー。俺、うまくやったよな!?」
「うん、淀金は完璧だった」
「付き合ってくれてありがとな」
「いえいえ。ほんじゃ、また来週な」
「おう、お疲れ」
淀金と別れた俺と時岡は公園に寄った。
「これで諦めてくれたらいいけどね」
ブランコに揺れる俺の前で、時岡はまだ策士の顔をしている。
「だからー、どうでもいいんだって。岩井さんが諦めようが、まだ好きでいようが、俺にはどうでもいい。…つうか、めちゃくちゃ抱きしめるんじゃなかったっけ?」
「外だけどいいの?」
「人がいないうちなら」
…ぎゅっ
ブランコに乗ったままの俺を力強く抱きしめた時岡。俺もぎゅーっと抱きしめ返す。
このお互いの溢れる好き以外どうでもいい。



