化け猫は一途を貫き本懐を遂げようとするもで溺愛男がそれを許さない。

ーー誠太郎の恋を、叶えたい。

闇夜に骨が軋み毛皮が裂け、私は立ち上がる。
月光に照らされ、影が長く伸びる。

私はこの世に怨念の未練を強く残す化け猫となった。

昼は人間の女学生、鈴子となり、夜はただの黒猫に戻る。
鈴子の姿は古びた袴に編み上げ靴。

白い襟元に紅をひと刷けた何処にでもいる普通の娘。

人間の皮をかぶるのは、昼のあいだだけ。

私は屍人を操れた。

夜毎、墓地から這い出る影を従え誠太郎の家を見張る。
両親があなたの夢を潰さぬように。

麗華様に不穏が及ばぬように。
全ては誠太郎の幸せのために。

ある日、鈴子の姿で誠太郎の前に立った。

「誠太郎さん、麗華様は来週の舞踏会に出席されますわ」
誠太郎は驚き、そして微笑んだ。

私はその笑顔にときめきと切なさを感じつつも幸せを感じていた。

けれど、夕暮れの校舎裏。
朱に染まる空に鐘の音が遠く響く時間。
誠太郎は私にとんでもない告白をした。

「鈴子さん。僕は、あなたが好きだ」

私は驚くよりも胸が痛くて息ができない。

「麗華様は?」
ようやっと問いただした私の問いに貴方は即座に答えた。