猫かぶりな兄の親友はブラコンの俺を構いたい

 久登先輩に告白されて二週間と少しが経った、金曜の昼下がり。今日は、学年末テストの最終日だ。
 放課後の一年の昇降口は、解放感でいっぱいの同級生でごった返している。だけど、靴箱からスニーカーを手に取った俺の心は、随分と静まり返っていた。
 というのも、今日は久登先輩に会えないまま、一日が終わりそうだからだ。

 この二週間、先輩は昼休みも放課後も、当たり前みたいに隣にいてくれた。試験期間中は勉強も見てくれて──助けてもらった分、テストが終わったら何かお返ししようって計画してた。
 久登先輩、甘いもの好きだし……帰りにドーナツ屋でも寄ろうかな。それとも、この前「ここのパンケーキ食べてみたい」って言ってたカフェとか? なんて考えてたのに──。

「なんで今日に限って、久登先輩はクラス会なんだよ……。春休み前にしたらいいじゃん」

 昨日の帰り道、唐突に言われたことを思い出しながら、俺はため息混じりに独りごちた。
 会えないって思うだけで、心がしゅんとする。
 だけど、そんな俺を急かすように、山本と相嶋の声が飛んできた。

「おーい、千茅! 早く行くぞ」
「ちんたらすんなってー。コンビニ寄ってかねーといけねぇんだから」

 扉の方を見れば、既に準備万端の二人の姿。
 そうだ。久登先輩もクラスで楽しむなら、俺も友達と楽しまないと。
 今日は二人から「千茅んちに行きたい」と言われて、急遽俺の家で遊ぶことになったのだ。

「はいはい。分かったから、急かすなってー」

 俺はすぐにスニーカーに履き替えると、急いで二人の元に向かった。