「うわぁ! また被ったぁ!」
歌うピクシーのダイヤ型シールを片手に、俺はカラオケの個室で、思わず叫んだ。
大声を出しても大丈夫な環境でよかった。もしこれが家だったら、母さんから「うるさい! アンタはもう! 和久ちゃんを見習いなさい!」って、雷が落とされるところだ。
でも、先程からずっと騒ぎ立てる俺を見ても、久登先輩は顔をしかめるどころか、終始にこにこしている。
「ちぃちゃんの素が見れて楽し〜」
なんて言いながら、久登先輩は先程から天狗の山盛りポテトをもぐもぐしていた。
そんな俺たちはかれこれ二時間、カラオケにいる。
とはいえ、いくら俺たちは食欲旺盛な男子高校生でも、食べられる量には限界がある。
俺が頼んだのは、鬼のぱんつオムライスと、ブラウニーの手作りサンドイッチ。それを食べたら、腹一杯だ。時間をあけたら、トロールのチョコパフェは食べたいけど、今はバンシーのブルーベリーソーダを飲むので、限界だった。
でも、コラボは全10種プラス、シークレット1種。久登先輩が引いてくれたワクワクマンシールを合わせても、そのうち、まだ5種しか集められていない。
ランダム配布、恐ろしすぎる。
だけど、せっかく、ここまで来たのなら、達成感を味わいたい。
今年貰ってたお年玉、全部残してて良かったと思う。
残る頼みの綱は、久登先輩の胃袋だ。
「久登先輩……まだ、フード行けますか?」
「余裕。ぜーんぜん食べれる」
久登先輩は自慢げに、メニュー表を手に取った。
「よっし、レプラコーンの金貨パンケーキに〜、シール引いたついでに、ピクシーのいちごパフェもいっちゃうか〜」
さらっと言っちゃう久登先輩、めちゃくちゃかっこよかった。
久登先輩に絡まれるようになってから、初めて尊敬した気がする。
そんな先輩の胃袋はブラックホールらしい。
すでに久登先輩は、ぬらりひょんの黒カレーに、オーガの激辛焼きそば、ゴブリンの爆弾からあげ、河童のきゅうりスティックとエルフの森サラダをペロッと平げている。ドワーフの歪なマフィンも三つくらい食べてたっけ。やばすぎだろ、胃袋。
でも、まだまだ涼しい顔してるものだから、たぶん、この人はかなり燃費が悪いんだろう。
これまで久登先輩と食事をしたことがなかったから知らなかったけど、なかなかのギャップだ。
しかも、食べる時はとんでもなく幸せそうに食べるから、なんだろう。驚きはあるけど、めちゃくちゃ食べ方も綺麗だし、見ているこっちが気持ちよくなる。
MeTubeの大食い配信を生で見ているようだった。
そんな俺の視線に気づいた久登先輩は「あっ、そういえば、食べてばっかだけど、歌う? てか、カラオケきたのに歌ってなかったね」なんて、けらけらと笑う。
久登先輩は余裕のある飄々とした表情もするけど、最近はこういう年相応の顔を見せてくれる気がする。
こんな顔、もっと見せてくれないかな。
もっと久登先輩のこと、知りたくなってきた。
久登先輩を見ていたら、なんか自然とそんな風に思っていた。
それに、自分の好きなものを、気兼ねなく好きと言える。それが、嬉しくて仕方がなくて、久登先輩の隣に立てるにいちゃんが、羨ましくなった。
俺はこれまで、ずっとにいちゃんを「すごいなぁ」って、一歩引いたところから見ていたから、羨ましいなんて思わなかったのに。
そんな風に感じた自分に驚いて、俺は慌ててバンシーのブルーベリーソーダを口に運んだ。
あまりに勢いよく飲んだから、炭酸で思いっきり咽せてしまったけど。
歌うピクシーのダイヤ型シールを片手に、俺はカラオケの個室で、思わず叫んだ。
大声を出しても大丈夫な環境でよかった。もしこれが家だったら、母さんから「うるさい! アンタはもう! 和久ちゃんを見習いなさい!」って、雷が落とされるところだ。
でも、先程からずっと騒ぎ立てる俺を見ても、久登先輩は顔をしかめるどころか、終始にこにこしている。
「ちぃちゃんの素が見れて楽し〜」
なんて言いながら、久登先輩は先程から天狗の山盛りポテトをもぐもぐしていた。
そんな俺たちはかれこれ二時間、カラオケにいる。
とはいえ、いくら俺たちは食欲旺盛な男子高校生でも、食べられる量には限界がある。
俺が頼んだのは、鬼のぱんつオムライスと、ブラウニーの手作りサンドイッチ。それを食べたら、腹一杯だ。時間をあけたら、トロールのチョコパフェは食べたいけど、今はバンシーのブルーベリーソーダを飲むので、限界だった。
でも、コラボは全10種プラス、シークレット1種。久登先輩が引いてくれたワクワクマンシールを合わせても、そのうち、まだ5種しか集められていない。
ランダム配布、恐ろしすぎる。
だけど、せっかく、ここまで来たのなら、達成感を味わいたい。
今年貰ってたお年玉、全部残してて良かったと思う。
残る頼みの綱は、久登先輩の胃袋だ。
「久登先輩……まだ、フード行けますか?」
「余裕。ぜーんぜん食べれる」
久登先輩は自慢げに、メニュー表を手に取った。
「よっし、レプラコーンの金貨パンケーキに〜、シール引いたついでに、ピクシーのいちごパフェもいっちゃうか〜」
さらっと言っちゃう久登先輩、めちゃくちゃかっこよかった。
久登先輩に絡まれるようになってから、初めて尊敬した気がする。
そんな先輩の胃袋はブラックホールらしい。
すでに久登先輩は、ぬらりひょんの黒カレーに、オーガの激辛焼きそば、ゴブリンの爆弾からあげ、河童のきゅうりスティックとエルフの森サラダをペロッと平げている。ドワーフの歪なマフィンも三つくらい食べてたっけ。やばすぎだろ、胃袋。
でも、まだまだ涼しい顔してるものだから、たぶん、この人はかなり燃費が悪いんだろう。
これまで久登先輩と食事をしたことがなかったから知らなかったけど、なかなかのギャップだ。
しかも、食べる時はとんでもなく幸せそうに食べるから、なんだろう。驚きはあるけど、めちゃくちゃ食べ方も綺麗だし、見ているこっちが気持ちよくなる。
MeTubeの大食い配信を生で見ているようだった。
そんな俺の視線に気づいた久登先輩は「あっ、そういえば、食べてばっかだけど、歌う? てか、カラオケきたのに歌ってなかったね」なんて、けらけらと笑う。
久登先輩は余裕のある飄々とした表情もするけど、最近はこういう年相応の顔を見せてくれる気がする。
こんな顔、もっと見せてくれないかな。
もっと久登先輩のこと、知りたくなってきた。
久登先輩を見ていたら、なんか自然とそんな風に思っていた。
それに、自分の好きなものを、気兼ねなく好きと言える。それが、嬉しくて仕方がなくて、久登先輩の隣に立てるにいちゃんが、羨ましくなった。
俺はこれまで、ずっとにいちゃんを「すごいなぁ」って、一歩引いたところから見ていたから、羨ましいなんて思わなかったのに。
そんな風に感じた自分に驚いて、俺は慌ててバンシーのブルーベリーソーダを口に運んだ。
あまりに勢いよく飲んだから、炭酸で思いっきり咽せてしまったけど。

