「あっ! フードかドリンク頼んだら、限定シール1つ貰えるんだ! でも、10種に、シークレット1種? しかも、ランダムって、きつくないか? えー、あと2週間じゃ集められないじゃんか! もっと早く知ってたら……!」
早口でまくし立てるように、俺は一人でわーっと喋っていた。そこで、ようやく、はたと気づく。
あ、どうしよう。久登先輩のスマホ、俺が持ったままだった。
久登先輩が驚いたように目を丸くしていて、俺はおずおずとその前に、スマホを返す。
俺はいったい何度、やらかしたら気が済むんだろうか。
恥ずかしくて、穴があったら入りたい。
でも、久登先輩はふっと表情を緩めるだけで、声を上げて笑うことはなかった。
「ちぃちゃん、和久のこと以外でも、そんなに早口で話せるんだね」
「……あ、はい。すみません。つい……」
好きなものになると、意図せず早口になってしまう。
なるべく相嶋とか、山本の前では出さないようにはしてるんだけど、久登先輩といると、どうも気が緩んで出てしまった。
「ううん。ちぃちゃんが楽しそうに話すの、なんか嬉しい。良かったらだけどさ、一緒に行こうよ」
茶化すことなく、真面目に話す久登先輩の提案に、俺は「いっしょに……?」と聞き返す。
「うん。一緒に。二人でなら、すぐシール集められそうじゃない?」
「たしかに……?」
そう言ったところで俺は、先輩は後輩の俺なんかと二人で行っても楽しくないんじゃ…? という考えに至った。
いくら、俺を手懐けるためだとしても、意中の相手の弟を、ずっとお守りするなんて大変だろう。
「あ、それなら、にいちゃん呼びます……?」
それならもっと早く集まるし、久登先輩も俺とカラオケに行くより楽しいはずだと思ったのだけど。
「やだよー、ちぃちゃんと二人がいい」
久登先輩はなんの躊躇いもなく、即答した。
ん? 二人がいいって、どういうこと?
こんなイケメンに言われたら、いくら俺でも、普通にキュンとしかけちゃうんだけど。
「俺と二人がいい……?」
「……うん。ちぃちゃんは、にいちゃんの親友とカラオケって気まずいだろうけどさ。和久、甘いの苦手でしょ。それに少食じゃん。無理させられないし」
にいちゃんの線の細さを思い浮かべたら、久登先輩の言葉はまさにその通りだった。
なんだ、にいちゃんを思って言ったのか。危ない危ない、勘違いするとこだった。
勘違いするって、何をって感じではあるけど。
俺はほっと胸を撫で下ろした。
「まぁ、確かに」
「でしょ? ……ほら、この座敷童子と、さっきちぃちゃんが引いてたコロポックル、交換してあげる。だからさ、明日の午前11時に、駅前集合して行こうよ」
久登先輩は半ば強引に、俺の前に置いていたコロポックルと座敷童子を入れ替えてしまった。
あ、俺のコロポックル……。
久登先輩の手に迎えられたその子を目で追ったら、悪戯げに笑われてしまった。
「交換成立。異議は申し立てませーん。デート楽しみだなぁ〜」
久登先輩の冗談めかした声が、静かな駄菓子屋に響く。
いつもの揶揄い。
そんなの分かってるのに、つい今しがたキュンとしかけた俺は、デートという単語にまで動揺してしまった。
イケメンって、こわいな。
無自覚で、人をたらし込もうとするんだもんな。
さっきまで心地良いと思っていたのに、俺はなぜかどうしようもなく、落ち着かなくなる。
足を動かしたら、コタツの中で久登先輩の膝と当たりそうで、余計にそわそわした。
だけど、モテる久登先輩からすれば、デートなんて言葉は日常的に飛び出しているものなのかもしれない。
「さーて、次のシールを引こうかな〜」
そんな風に呑気に笑う久登先輩が、ほんの少し憎たらしく思えた。
早口でまくし立てるように、俺は一人でわーっと喋っていた。そこで、ようやく、はたと気づく。
あ、どうしよう。久登先輩のスマホ、俺が持ったままだった。
久登先輩が驚いたように目を丸くしていて、俺はおずおずとその前に、スマホを返す。
俺はいったい何度、やらかしたら気が済むんだろうか。
恥ずかしくて、穴があったら入りたい。
でも、久登先輩はふっと表情を緩めるだけで、声を上げて笑うことはなかった。
「ちぃちゃん、和久のこと以外でも、そんなに早口で話せるんだね」
「……あ、はい。すみません。つい……」
好きなものになると、意図せず早口になってしまう。
なるべく相嶋とか、山本の前では出さないようにはしてるんだけど、久登先輩といると、どうも気が緩んで出てしまった。
「ううん。ちぃちゃんが楽しそうに話すの、なんか嬉しい。良かったらだけどさ、一緒に行こうよ」
茶化すことなく、真面目に話す久登先輩の提案に、俺は「いっしょに……?」と聞き返す。
「うん。一緒に。二人でなら、すぐシール集められそうじゃない?」
「たしかに……?」
そう言ったところで俺は、先輩は後輩の俺なんかと二人で行っても楽しくないんじゃ…? という考えに至った。
いくら、俺を手懐けるためだとしても、意中の相手の弟を、ずっとお守りするなんて大変だろう。
「あ、それなら、にいちゃん呼びます……?」
それならもっと早く集まるし、久登先輩も俺とカラオケに行くより楽しいはずだと思ったのだけど。
「やだよー、ちぃちゃんと二人がいい」
久登先輩はなんの躊躇いもなく、即答した。
ん? 二人がいいって、どういうこと?
こんなイケメンに言われたら、いくら俺でも、普通にキュンとしかけちゃうんだけど。
「俺と二人がいい……?」
「……うん。ちぃちゃんは、にいちゃんの親友とカラオケって気まずいだろうけどさ。和久、甘いの苦手でしょ。それに少食じゃん。無理させられないし」
にいちゃんの線の細さを思い浮かべたら、久登先輩の言葉はまさにその通りだった。
なんだ、にいちゃんを思って言ったのか。危ない危ない、勘違いするとこだった。
勘違いするって、何をって感じではあるけど。
俺はほっと胸を撫で下ろした。
「まぁ、確かに」
「でしょ? ……ほら、この座敷童子と、さっきちぃちゃんが引いてたコロポックル、交換してあげる。だからさ、明日の午前11時に、駅前集合して行こうよ」
久登先輩は半ば強引に、俺の前に置いていたコロポックルと座敷童子を入れ替えてしまった。
あ、俺のコロポックル……。
久登先輩の手に迎えられたその子を目で追ったら、悪戯げに笑われてしまった。
「交換成立。異議は申し立てませーん。デート楽しみだなぁ〜」
久登先輩の冗談めかした声が、静かな駄菓子屋に響く。
いつもの揶揄い。
そんなの分かってるのに、つい今しがたキュンとしかけた俺は、デートという単語にまで動揺してしまった。
イケメンって、こわいな。
無自覚で、人をたらし込もうとするんだもんな。
さっきまで心地良いと思っていたのに、俺はなぜかどうしようもなく、落ち着かなくなる。
足を動かしたら、コタツの中で久登先輩の膝と当たりそうで、余計にそわそわした。
だけど、モテる久登先輩からすれば、デートなんて言葉は日常的に飛び出しているものなのかもしれない。
「さーて、次のシールを引こうかな〜」
そんな風に呑気に笑う久登先輩が、ほんの少し憎たらしく思えた。

