彼の笑顔が誰より可愛い。

優作と勇の出会いは幼稚園の時だった。優作は内気で人見知りーー現在もそんなに変わらないがーーで、いつも幼稚園の校庭の片隅で、花に話しかけていた。
そんな彼に積極的に話しかけたのが勇だった。
勇はいつも優作を引っ張り、周囲と打ち解けられるよう時には友人を紹介したりと、親身に彼に寄り添った。
しかしその友情が裏目に出るかのように、二人が育つにつれて腐女子の目を惹きつけ、中学生の頃から好奇の目に晒されるようになった。
優作を腐女子から庇うような態度を取れば、それが更に妙な噂の火種になる。
それを分かっていながら、それでも変わらず傍にいてくれる勇を、優作は心から感謝していた。

帰り支度を終えた優作がふと窓の外に目を遣ると、校庭にある木の青々とした葉が風に揺れている。
風の勢いは荒く、横殴りに吹き、葉はそれに流されるように激しく揺れていた。
僕の今の感謝にどこか似ているな、と優作は思う。
その時、背後から勇の声が飛んだ。
「優作、一緒に帰ろうぜ」
まるで当然のような、爽やかな声色の勇の声。
結局、優作は昨日の心臓のドキドキの正体も、原因不明の心のもやもやの意味も解らないまま、それでも。
「うん。帰ろうか、勇」
こげ茶色の長い眉を優しく下げて、柔らかく微笑んだ。