暫くして二人は角を曲がり「桜木公園」と書かれている場所へ入った。
「この公園は……!」
勇が少し驚いた表情で辺りを見回す。公園の縁を囲むように植えられた木は、茶色のどっしりした太い幹から、細く長い枝が力強く伸びている。
今は十一月で木々は殺風景で、どこか寒そうな冬景色に似合う形だが、春には満開の桜が白やピンクの可愛い花を咲かせる。
桜木公園に植わる木は、公園の名前のごとく全部が桜の木だ。
「君は覚えているかな。この公園で一人ぼっちの僕に、勇が声をかけてくれた時のこと」
風が吹き、優作のこげ茶色のくせのある前髪が踊る。彼は懐かしそうに目を細めて微笑み、勇を見上げる。
その様子がどこか儚げで、それでいて愛おしくて。
「ああ、覚えてるぜ」
勇はゆっくり彼から視線を空へ向ける。仰ぎ見た雲一つない秋の空を、この先もずっと隣で、一緒に見ていけたらと柄にもなく願う。
「いつも庭の片隅で一人でしゃがみ込んで植物や動物に話しかけてるから、変人扱いされていじめられてたよな。でもどんなに自分が悪く言われても、植物には優しく笑いかけて……愛していた。そんな優作だから、俺は「こいつを支えて守りたい」と思ったんだ」
「まあ勇のおかげで今は、クラスの男子とは喋る程度には仲がいいけどね。一部の女子からはからかわれたりするけど」
優作がハハと苦笑すると、勇は彼の頭に手を置いた。
ぶっきらぼうな、だけど優しくて大きな掌だということを、優作は知っている。
「勇……」
彼のアーモンド型の目に優しい茶色の瞳が、勇を見上げる。
男子高校生にしては愛らしい、くせのあるこげ茶色の髪にピンクがかった肌。低めの鼻にべース型の短い輪郭。
勇は小ぶりの唇を一度キュッと結んでから、また開いた。
「お前はなにも気にするな。俺がずっと隣で守るから」
「うん……!」
二人を包むように風が吹き、二匹の白い蝶がくるくると戯れるよう、踊るように舞う。
終
「この公園は……!」
勇が少し驚いた表情で辺りを見回す。公園の縁を囲むように植えられた木は、茶色のどっしりした太い幹から、細く長い枝が力強く伸びている。
今は十一月で木々は殺風景で、どこか寒そうな冬景色に似合う形だが、春には満開の桜が白やピンクの可愛い花を咲かせる。
桜木公園に植わる木は、公園の名前のごとく全部が桜の木だ。
「君は覚えているかな。この公園で一人ぼっちの僕に、勇が声をかけてくれた時のこと」
風が吹き、優作のこげ茶色のくせのある前髪が踊る。彼は懐かしそうに目を細めて微笑み、勇を見上げる。
その様子がどこか儚げで、それでいて愛おしくて。
「ああ、覚えてるぜ」
勇はゆっくり彼から視線を空へ向ける。仰ぎ見た雲一つない秋の空を、この先もずっと隣で、一緒に見ていけたらと柄にもなく願う。
「いつも庭の片隅で一人でしゃがみ込んで植物や動物に話しかけてるから、変人扱いされていじめられてたよな。でもどんなに自分が悪く言われても、植物には優しく笑いかけて……愛していた。そんな優作だから、俺は「こいつを支えて守りたい」と思ったんだ」
「まあ勇のおかげで今は、クラスの男子とは喋る程度には仲がいいけどね。一部の女子からはからかわれたりするけど」
優作がハハと苦笑すると、勇は彼の頭に手を置いた。
ぶっきらぼうな、だけど優しくて大きな掌だということを、優作は知っている。
「勇……」
彼のアーモンド型の目に優しい茶色の瞳が、勇を見上げる。
男子高校生にしては愛らしい、くせのあるこげ茶色の髪にピンクがかった肌。低めの鼻にべース型の短い輪郭。
勇は小ぶりの唇を一度キュッと結んでから、また開いた。
「お前はなにも気にするな。俺がずっと隣で守るから」
「うん……!」
二人を包むように風が吹き、二匹の白い蝶がくるくると戯れるよう、踊るように舞う。
終
