彼の笑顔が誰より可愛い。

優作が苦笑いしながら隣の勇を見上げる。
「ああ。俺がここを見つけてから五年ぐらい経つが、未だに誰にも見つかってねぇな」
勇が微笑んで彼を見下ろす。鋭く見える瞳の中に優しい視線が自分に向けられているのをみつけ、優作の顔が熱をもつ。無意識に潤む瞳。
それを見た勇は再び、可愛さと愛おしさと胸の中に熱いマグマの塊のようなものが一気に込み上げるのを感じた。
お互いの視線が絡み合い、沈黙が流れる。
「……なあ優作」
静寂を破る勇の額に汗が浮かんでいるーーその時。
勇の背後でヒュルルッという音が聞こえた次の瞬間。宵の口の紺色の空に、大きな赤と白の花が咲いた。
「うわ、綺麗だねぇ」
派手な音が鳴った一瞬、花火はパラパラと舞って散る。
「小さい花火も可愛いけれど、大きな花火は見応えがあるなぁ」
優作の顔にも笑みの華が咲く。勇は両手の拳をぎゅっと握り締めた。
「……勇? さっきから反応ないけど大丈夫か、」
「俺は優作が好きだ」
「え……」
また次の花火が尾を引いて打ち上がる。
「この感情の違和感にやっと気がついた。俺はお前のことが、」
大きな音と共に夜空に青色の花火が咲き誇る。勇の真剣な表情と、優作の驚きに見開いた茶色の瞳を、花火が明るく照らし出す。