そばにいたのはキミだった

今まで無縁だったラブレターに、今まで無縁だったイケメン男子との交流。虚しいバレンタインデーだったはずなのに、今日は予想外のことばかり起きる。


宵衣くんとは、放課後に図書室で一緒に手紙を書く約束をした。


「あれ、おかえり〜香夜」
「ただいま…慧人!!!」
「うわ、びっくりした」
「お、おれ…ついに!俺にもLOVEイベントが来た!」
「え!?」


教室に戻った後、慧人に一部始終を話すとだいぶ目を丸めていたが、すぐ顎に手を当てて考え出した。


「今時、交換日記…?てかやり取りするなら普通にLINEとかでよくね?」


それは、さっき俺も一瞬思ったけども。


「いや…そこがいいんだよ!特別感があるっていうか…手書きだからこそいいっていうか…俺のこと本当に知りたいと思ってくれてるんだなっていうか!」

「そーいうもん?お前やっぱ変わってんな」

「そ、そんなことない!」


でも、本当にLINEとかイン○タとかじゃなくて交換日記だったことが衝撃だったし。いわゆる、恋愛漫画にありそうなベタな展開に憧れていた俺がやらない訳ないんだよな。


「どんな子なんだろう…」

「それで交換日記の橋渡しが、E組の今沢くんってことね」

「あ!そうそう、最初は圧倒されたけど普通にいい人だったよ。自ら渡そうか?って言ってくれたし、日記書くのも手伝ってくれるみたい!」

「へー、あの今沢くんがね」

「え、慧人知ってるの?」

「喋ったことないけど名前は知ってた。普通にかっこいいし、あの気だるそうな感じが女子に人気らしいよ。俺も詳しく知らないけど、恋愛沙汰に協力的なイメージないからびっくりした」

「へぇ…そうなんだ…」


知らなかった。確かに髪が長くてもかっこいいってすごいもんな。俺がやったらただの美容院サボってた人みたいになっちゃうのに。


さっきの光景を鮮明に思い出した。柔らかそうな髪の毛がふわふわしてたし。クセ毛なのかな…と思ったり。近くで見ると背も高かったな、普通くらいの俺が見上げてたくらいだ。


あれ、そういえば。さっきはテンション上がって、提案されたこと全部承諾してしまったけど、冷静に考えたらそんな人と上手くやって行けるのか?俺…。

そもそも一緒にいたら不釣り合いだと、周りに怒られるのでは…?!


いや、でもこれは全て交換日記のためだ!


せっかく俺に訪れたチャンスなんだから!