そばにいたのはキミだった

信じられない。本当だ、本物だった。

“江崎香夜くんへ。1年生の時からあなたのことが好きです。本当は付き合ってほしいけど、もっとあなたのことを知っていきたいし、自分のことも知ってほしいと思います。
ただ、恥ずかしくて直接話すことはまだできないです。もし付き合える可能性が少しでもあるなら、まず交換日記をしてお互いのことを知りたいです。お返事待ってます”

手紙にはそう綴ってあった。ボールペンで書いてあるのに、字が滲んでたり書き間違いを誤魔化してる部分が無くて綺麗な文面だ。


「というか、交換日記って…」


そうぽつりと呟くと、目の前のイケメンが顔を覗き込んできた。


「交換日記?そのままでしょ。日記を交換するんだよ」
「わ!え、な、なんで」
「俺、その手紙書いた奴友達で…内容の相談乗ってたから知ってる」
「あ、そうなんですね…」


俺も相当女子に慣れてないけど、この園原さんという方もだいぶシャイなのかもしれない。今時交換日記って聞いたことないけど…。


この人生初のLOVEイベントに、胸が弾まないわけない。

「どうしよう、これ、交換日記やってみたい…!え、でも相手の子はどんな子なんだろう…。なんで俺を…」


自分でも浮き足立っているのが分かる。さっきまで怖いと思っていた目の前のイケメン男子に、わたわたと友達のように話してしまっているのだから。


「あれ、でもそういえば…。どうやって渡したら…」


お互い直接話すことができないとなると、そもそもどうやって日記を渡し合うのか疑問が生まれる。いや、普通にE組に行けばいいのかもしれないけど…。


みんなが見てる中、交換日記をスマートに渡して…とか俺にはハードルが高すぎる。


「やるの?交換日記」
「あっ、は、はい…やってみたいなと…」
「だったら、俺がそれ渡してあげるよ」
「…へ?!」
「書いてあったでしょ?恥ずかしくて直接話せないって。交換日記でお互いのこと知って、慣れてきたら話したいって言ってた」


イケメンからの突然の提案に驚いたが、確かに中間役がいてくれたらハードルはだいぶ下がる気がする。

「だから、よかったら俺が2人の交換日記の配達係になるよ。園原からそう頼まれてたし」

「は、配達係…」