そばにいたのはキミだった

なぜ呼び出されたか分からない。最近何かやらかしたか?という不安しか頭をよぎらない。

ドキマギしながら目の前を歩くデカい黒髪イケメンの後を着いていく。歩く度に、目の前で癖毛っぽい長めの襟足が揺れていた。

そして廊下を歩いて教室からだいぶ離れた場所まで来た時、イケメンがこちらを振り返った。


「あ、あの…俺になんの話でしょうか…?」


内心汗ダラダラでそう問いかけると、イケメンは何かをごそごそとポケットから取り出した。手にはパステルイエローの可愛らしい便箋らしきものが握られている。

え、便箋?手紙…?


「あの、これ…ラブレター」
「…へ?」
「君に、香夜くんにラブレター」
「……」


え!!!??はっ!??


「ら、え?ラブレター…って、あの告白する時の…?」
「うん、そう」
「え、お、俺に…?!あなたから…?」


恐る恐る聞くと、そのイケメンはキッと目線を鋭くして俺を睨んだ。その眼光に思わず後ずさりをしてしまった。

ひーー!!!怖い!!

「そ、そんな訳ないですよね!!俺男だし…!ごめんなさい!!」
「…渡してくれって頼まれたんだ」
「だ、だれに…?」
「E組の園原(そのはら)って女子分かる?」


やばい、分からない。

「あ、すみません…。俺、女子と交流なくて…他クラスなんて余計に分からないです…」
「そっか。その子から頼まれたんだ。恥ずかしくて直接渡せないから、これをA組の江崎香夜くんに渡してほしいって」
「えっ!?」


要するに、俺は今手紙で告白されてるってこと!?
まさかの人伝いだけど。

ていうことは、人生初のラブレター!?
何かの間違いじゃないよな!?


「ほ、本当ですか?それ、何かの罰ゲームとかでは…」
「そんな訳ないでしょ。なんなら本人に聞いてみてもいいよ。直接話せる感じではなさそうだけど」

確かに…。聞いてもいいと言われても、俺がそんなこといきなりできるか?
告白されたのだって人生初なのに、ましてや本人に直接「俺のこと好きなんですよね?」と聞くなんて、考えただけで頭が爆発しそうだ。


「こ、これがラブレター…」
「とにかく、中を見てみたら?」
「あ!は、はい…」

渡された便箋についている可愛い猫のシールをゆっくり剥がし、手紙を開いた。


「…わ、綺麗な字」


文章はボールペンで、しかも女子特有の丸い文字ではなく達筆でありながらも丁寧で凛とした字体で書かれている。

思わず声が漏れてしまった。

「……」

それにしても、なんでこの人はこんなに見てくるんだろう。さっきから視線が痛いし気になって仕方ない…!


「……えっ!?こ、これって」
「ん?」
「ほ、本当に告白だ…!」
「だからそう言ってるじゃん」