そばにいたのはキミだった

陽が高い時間だから、時折吹くそよ風さえも気持ちがいい。目を閉じればすぐ意識が薄れていくのは当然だった。

船を漕いでいた頭が急に安定したのは、引き寄せられた手によって何かに体を預けたせいかもしれない。でもそれに反応する余裕もないまま、意識が途切れてしまった。

夢の中で…誰かが優しく髪を撫でた。


いつぶりだろう。こうやって撫でられるのは…。


父さんは割と落ち着いていて寡黙なタイプだから、仲が良くても触れ合うなんてずっとなかった。

父さんと喧嘩ばかりしていた母さんも、俺が小さい頃は撫でてくれていただろうけど物心ついてからは全くなかったと思う。

気が付けば、いつも俺に背中を向けていたから。


だからかな。久しぶりの感覚に、ただ身を任せていたくなった。


変だな、普段友達に頭をポンポン触られても何も感じなかったのに…なんで今はこんなに温かいんだろう。