初めて青紫に会った時、自分とは異なる人だと思った。青紫は己の能力を深く理解し、その存在を認めてくれる者が傍にいて、恵まれているのだと。だが、それはまったく違っていた。青紫も優子と同じように、常に他者から否定され、この世界に自分の居場所がないと思い、孤独を抱えていた。
目を開けると、割れた窓ガラスが視界に入った。
小粒の雨がポツポツと降り、優子の頬を冷たく伝う。
「青紫さん……!!」
勢いよく上体を起こすと、ズキンッと差すような痛みがして、片手で頭を押さえ込む。
厄の妖怪の姿がなくなったおかげか、辺りに広がっていた漆黒の闇のような妖気も消え、頭痛も良くなっていた。
(そうだ、青紫さんは……)
「目が覚めたか」
優子のすぐ近くに座り込んでいる薊。その視線の先には、地面には横たわる美月の姿もある。
「心配するな、強力な封印を解いたから気を失っているだけだ。お前は俺と一緒にこの森を出て黒羽の本家に戻るぞ。ここにいるより、あの屋敷にいる方が安全だ」
(……行ってしまった……)
一気に絶望が胸の中に広がり、締め付けられるような激しい痛みを感じる。
「っ……くっ……ううっ」
両手で顔を覆い、声を押し殺すように涙を流す優子に、歯を食いしばる。
「気持ちは分かるが、お前には何もできない。……俺にも」
悔しそうにそう言った薊は立ち上がる。
「俺は美月を担がなきゃ行けねぇから、お前は自分の足で歩けよ。こいつは置いていく、助ける義理も情もねぇからな」
そう言い、薊は夜会にいた男を見下ろす。
(何もできないことは分かってる……でも……)
両手を握りしめる優子。
自分が行っても足手纏いになる。
だからと言って、このまま青紫をおいて、逃げるようなことできない。
決めたのだ。何があっても青紫を信じると。約束したのだ。傍を離れないと。
「おい、ちんたらするな、行くぞ」
立ち上がった優子は、俯きながら薊の前まで来る。
「本当は、こんなこと、したくないんですけど……仕方がないです」
「あ……?」
眉間に皺を寄せ、首を傾げる薊。
(やるしかない)
バッと顔を上げた優子は、薊の大事なところ目掛けて片足を振り上げた。
「くっ……!! お、お前っ……!!」
蹴りは見事にヒットし、薊は悶絶しその場に崩れ落ちた。
「薊さんごめんなさい。私、やっぱり、青紫さんを一人で戦わせられない!」
そう言うと、優子は全速力で走り出し、廃墟を出ていく。
「あっ、おい待て……っ!」
壮絶な痛みに、薊は立ち上がることができず、その場で狼狽えるしかなかった。
「クソっ……!」
廃墟を出た優子は、走りながら空を見上げる。
雨は止んだが、風が強く、空はどんよりとしている。灰色の空の一部が黒い漆黒に覆われ、漆黒の中に、青い光がある。
(あそこに青紫さんがいるんだわ)
空を見上げながら、必死に走る優子。
もっと早く走りたいのに、その思いとは裏腹に、足が前に進んでくれない。
「あっ……!」
小石に躓き、水たまりに顔から盛大に倒れ混んでしまう。
泥水で顔と着物は汚れる。
両手で水を払うと、草履を脱ぎ捨て、着物の帯を取ると着物を脱ぎ捨て、肌着になり、再び走り出す。
早く……早く青紫さんへ。
「優子……!」
どこからともなくヨモギの声が聞こえてきて、優子は辺りを見回した。後ろを振り向くと、そこには、白い龍の背中に乗ったヨモギがいる。
思わ図、足を止める優子。
「ヨモギ? どうしたあなたがここに……多江さんは? 多江さんは無事なの!?」
「安心しろ、薊が使役している妖怪が傍についている」
多江の無事を知って、優子は安堵した。
「こいつが、ここまで連れてきてくれたんだ」
そう言い、ヨモギは機嫌良く、白い龍の背中を軽くポンと叩く。
(すごく綺麗……)
「あなたは……?」
白い龍は身を屈め、優子を見据える。
「お前があの子の嫁か。あの子は美人だと言っていたが……」
乱れた髪に、泥だらけ優子の顔を見て、紫苑はおもしろそうクスりと笑う。
「乗れ、あの子の元まで行くんだろ。私の背に乗った方が早い」
地面に伏せる白い龍。優子がヨモギを一瞥すると、ヨモギは力強く頷く。
優子が背に乗ると、白い龍は浮遊する。
「小物、小娘、しっかりと掴まれ」
優子はヨモギ片手を差し出す。
「この方が安全でしょ」
「すまない、ありがとう優子」
ヨモギは差し出された優子の片手にちょんと乗ると、優子は肌着の袖の中にヨモギを入れる。
白い龍は徐々に上へと浮遊すると、空に飛ぶ。
漆黒が大きくなるにつれ、青い光も強さを増す。
少しの間、飛び続けていると白い龍が口を開く。
「紅葉に頼まれたんだ」
「紅葉さんに……?」
「対価は払うから、お前の力になってくれと。対価など払わなくても、可愛い息子のためなら私は力を貸したが、面白そうだから、話に乗ると言ってやった」
「かわいい息子……。じゃあ、あなたが青紫さんを育てたっていう」
青紫が美月と仕事の行った時、一縷から、青紫を育てた妖怪の話を聞いていた。
優子の言葉に、白い龍はおかしそうに目を伏せる。
「そんな大層なものじゃないさ。私はただ、半妖のあの子が一人でも生きていけるように、異能の使い方や、祓い術をかける相手をしてやっただけさ。……一人では、生きていくことにならなかったようだが」
そう言い、紫苑は嬉しそうに、小さな笑みを浮かべる。
「あの、もしよければ、名前を教えてくれないかしら」
強風が吹き、優子の声がかき消される。
「悪いが、風の音でよく聞こえない。もっと大きな声で話してくれ」
「名前……! なんていうのですか……!」
「……ウハハハハっ!!」
叫び問う優子に、紫苑はお腹から大きな声を出して笑う。
そんな紫苑に、優子は少し拗ねたように眉間に皺を寄せた。
「そんなにおかしいことじゃないでしょ、名前くらい」
「人間が妖怪に名前を尋ねるなんて、そうないさ。お前は変わり者だな」
優子の懐にいたヨモギが、ひょっこり顔を出す。
「おいらも聞かれた時は、驚いたものだ。でも、やっぱり嬉しいものだ。名というものは、妖怪にとっても特別だからな」
優子にとっては何気ないことにしか過ぎないが、それこそが、妖怪と人間を対等に思っている証でもある。
そんな優子に、紫苑は呟く。
「……そうか。そんなお前だから、あの子も心を開いたんだろうな」
「何か言った?」
「いや、なんでもない」
「それで、名前は教えてくれるの? くれないの?」
「紫苑だ」
「え?」
前のめりになり、耳を澄ます優子。
「私の名は、紫苑という」
「紫苑……あなたも、素敵な名だわ」
「漢字というものは、紫に苑。この名は、青紫がつけてくれた」
「青紫さんが?」
「ああ、おかしいよな、子供が親に命名なんて」
そう言い、紫苑は何かを思い出したかのように楽しそうに笑う。
紫苑__。その名は、生涯忘れることのない、世界でただ一人の息子から贈られた、大切な名。
まだ青紫が片手で歳を数えられた頃、青紫は筆を取り、和洋紙に自分の名前を書くと、紫苑に見せた。
目を凝らし、和洋紙を見る紫苑。
「これは……なんて読むんだ?」
「あおし。私の母がつけてくれた、私の名です」
「へー、どんな意味が込められているんだろうな」
「さあ? それは分かりませんが。祖父の話だと、この字には、希望という意味が込められているとか」
「希望……なんだか、良い響きだな」
腑に落ちず、パッとしない顔をする青紫に、紫苑は「フッ」と笑うと、愛情を向けるように青紫に擦り寄った。
「きっと、お前の母親は、お前の幸せを願ったんだろうな」
「……そうでしょうか」
「そうだとも、でなければ、希望などという意味を込めない」
少し考え込むと、青紫は再び筆を手に取り和洋紙んい書く。そして、紫苑に見せた。和洋紙には、紫苑__と書かれている。
「私と同じ、紫という漢字を使いました。苑には、囲いという意味があります。あなたはこの森一体のボス的な存在ですから、ピッタリでしょう?」
そう言って、青紫は楽しそうな笑みを見せた。
「私からのプレゼントです。紫苑」
無邪気な笑みを向け、紫苑に和洋紙を差し出す青紫。
「……ああ、そうだな。ありがとう、愛おしい息子」
そう言い、紫苑は目を閉じ、青紫に自分に自分の額をつける。青紫も穏やかな笑みを浮かべると、目を閉じた。
(私も願うよ、青紫。お前の生きる道が、幸せであるようにと)
紫苑が昔話に老けていると、風が緩やかになる。
「何、急に風が弱まった」
「風早だな。私が上手く飛べるように、風の抵抗をなくしてくれているのだ」
(風早……ありがとう)
「私の異能で、ここら一体に結界を張っている。妖気は広がらないだろう。紅葉の話では、黒羽と漆原も応援に来ている」
一縷と庵を含めた黒羽一門は帝都で、紅葉の父親を含めた漆原一門が近隣の街で災いに備えているという。
「だが、私もいつまで持ち堪えられるか分からないし、この妖気が禍々しい邪気に変わってしまわないうちに、あの妖怪を壺に封印しなおさなければ」
(……青紫さん)
優子の両手に力がが入る。
「風は味方になった。スピードを上げる、しっかり掴まれ!」
「はい……!」
紫苑は一気にスピードを上げ、青紫の元へと急いだ。
目を開けると、割れた窓ガラスが視界に入った。
小粒の雨がポツポツと降り、優子の頬を冷たく伝う。
「青紫さん……!!」
勢いよく上体を起こすと、ズキンッと差すような痛みがして、片手で頭を押さえ込む。
厄の妖怪の姿がなくなったおかげか、辺りに広がっていた漆黒の闇のような妖気も消え、頭痛も良くなっていた。
(そうだ、青紫さんは……)
「目が覚めたか」
優子のすぐ近くに座り込んでいる薊。その視線の先には、地面には横たわる美月の姿もある。
「心配するな、強力な封印を解いたから気を失っているだけだ。お前は俺と一緒にこの森を出て黒羽の本家に戻るぞ。ここにいるより、あの屋敷にいる方が安全だ」
(……行ってしまった……)
一気に絶望が胸の中に広がり、締め付けられるような激しい痛みを感じる。
「っ……くっ……ううっ」
両手で顔を覆い、声を押し殺すように涙を流す優子に、歯を食いしばる。
「気持ちは分かるが、お前には何もできない。……俺にも」
悔しそうにそう言った薊は立ち上がる。
「俺は美月を担がなきゃ行けねぇから、お前は自分の足で歩けよ。こいつは置いていく、助ける義理も情もねぇからな」
そう言い、薊は夜会にいた男を見下ろす。
(何もできないことは分かってる……でも……)
両手を握りしめる優子。
自分が行っても足手纏いになる。
だからと言って、このまま青紫をおいて、逃げるようなことできない。
決めたのだ。何があっても青紫を信じると。約束したのだ。傍を離れないと。
「おい、ちんたらするな、行くぞ」
立ち上がった優子は、俯きながら薊の前まで来る。
「本当は、こんなこと、したくないんですけど……仕方がないです」
「あ……?」
眉間に皺を寄せ、首を傾げる薊。
(やるしかない)
バッと顔を上げた優子は、薊の大事なところ目掛けて片足を振り上げた。
「くっ……!! お、お前っ……!!」
蹴りは見事にヒットし、薊は悶絶しその場に崩れ落ちた。
「薊さんごめんなさい。私、やっぱり、青紫さんを一人で戦わせられない!」
そう言うと、優子は全速力で走り出し、廃墟を出ていく。
「あっ、おい待て……っ!」
壮絶な痛みに、薊は立ち上がることができず、その場で狼狽えるしかなかった。
「クソっ……!」
廃墟を出た優子は、走りながら空を見上げる。
雨は止んだが、風が強く、空はどんよりとしている。灰色の空の一部が黒い漆黒に覆われ、漆黒の中に、青い光がある。
(あそこに青紫さんがいるんだわ)
空を見上げながら、必死に走る優子。
もっと早く走りたいのに、その思いとは裏腹に、足が前に進んでくれない。
「あっ……!」
小石に躓き、水たまりに顔から盛大に倒れ混んでしまう。
泥水で顔と着物は汚れる。
両手で水を払うと、草履を脱ぎ捨て、着物の帯を取ると着物を脱ぎ捨て、肌着になり、再び走り出す。
早く……早く青紫さんへ。
「優子……!」
どこからともなくヨモギの声が聞こえてきて、優子は辺りを見回した。後ろを振り向くと、そこには、白い龍の背中に乗ったヨモギがいる。
思わ図、足を止める優子。
「ヨモギ? どうしたあなたがここに……多江さんは? 多江さんは無事なの!?」
「安心しろ、薊が使役している妖怪が傍についている」
多江の無事を知って、優子は安堵した。
「こいつが、ここまで連れてきてくれたんだ」
そう言い、ヨモギは機嫌良く、白い龍の背中を軽くポンと叩く。
(すごく綺麗……)
「あなたは……?」
白い龍は身を屈め、優子を見据える。
「お前があの子の嫁か。あの子は美人だと言っていたが……」
乱れた髪に、泥だらけ優子の顔を見て、紫苑はおもしろそうクスりと笑う。
「乗れ、あの子の元まで行くんだろ。私の背に乗った方が早い」
地面に伏せる白い龍。優子がヨモギを一瞥すると、ヨモギは力強く頷く。
優子が背に乗ると、白い龍は浮遊する。
「小物、小娘、しっかりと掴まれ」
優子はヨモギ片手を差し出す。
「この方が安全でしょ」
「すまない、ありがとう優子」
ヨモギは差し出された優子の片手にちょんと乗ると、優子は肌着の袖の中にヨモギを入れる。
白い龍は徐々に上へと浮遊すると、空に飛ぶ。
漆黒が大きくなるにつれ、青い光も強さを増す。
少しの間、飛び続けていると白い龍が口を開く。
「紅葉に頼まれたんだ」
「紅葉さんに……?」
「対価は払うから、お前の力になってくれと。対価など払わなくても、可愛い息子のためなら私は力を貸したが、面白そうだから、話に乗ると言ってやった」
「かわいい息子……。じゃあ、あなたが青紫さんを育てたっていう」
青紫が美月と仕事の行った時、一縷から、青紫を育てた妖怪の話を聞いていた。
優子の言葉に、白い龍はおかしそうに目を伏せる。
「そんな大層なものじゃないさ。私はただ、半妖のあの子が一人でも生きていけるように、異能の使い方や、祓い術をかける相手をしてやっただけさ。……一人では、生きていくことにならなかったようだが」
そう言い、紫苑は嬉しそうに、小さな笑みを浮かべる。
「あの、もしよければ、名前を教えてくれないかしら」
強風が吹き、優子の声がかき消される。
「悪いが、風の音でよく聞こえない。もっと大きな声で話してくれ」
「名前……! なんていうのですか……!」
「……ウハハハハっ!!」
叫び問う優子に、紫苑はお腹から大きな声を出して笑う。
そんな紫苑に、優子は少し拗ねたように眉間に皺を寄せた。
「そんなにおかしいことじゃないでしょ、名前くらい」
「人間が妖怪に名前を尋ねるなんて、そうないさ。お前は変わり者だな」
優子の懐にいたヨモギが、ひょっこり顔を出す。
「おいらも聞かれた時は、驚いたものだ。でも、やっぱり嬉しいものだ。名というものは、妖怪にとっても特別だからな」
優子にとっては何気ないことにしか過ぎないが、それこそが、妖怪と人間を対等に思っている証でもある。
そんな優子に、紫苑は呟く。
「……そうか。そんなお前だから、あの子も心を開いたんだろうな」
「何か言った?」
「いや、なんでもない」
「それで、名前は教えてくれるの? くれないの?」
「紫苑だ」
「え?」
前のめりになり、耳を澄ます優子。
「私の名は、紫苑という」
「紫苑……あなたも、素敵な名だわ」
「漢字というものは、紫に苑。この名は、青紫がつけてくれた」
「青紫さんが?」
「ああ、おかしいよな、子供が親に命名なんて」
そう言い、紫苑は何かを思い出したかのように楽しそうに笑う。
紫苑__。その名は、生涯忘れることのない、世界でただ一人の息子から贈られた、大切な名。
まだ青紫が片手で歳を数えられた頃、青紫は筆を取り、和洋紙に自分の名前を書くと、紫苑に見せた。
目を凝らし、和洋紙を見る紫苑。
「これは……なんて読むんだ?」
「あおし。私の母がつけてくれた、私の名です」
「へー、どんな意味が込められているんだろうな」
「さあ? それは分かりませんが。祖父の話だと、この字には、希望という意味が込められているとか」
「希望……なんだか、良い響きだな」
腑に落ちず、パッとしない顔をする青紫に、紫苑は「フッ」と笑うと、愛情を向けるように青紫に擦り寄った。
「きっと、お前の母親は、お前の幸せを願ったんだろうな」
「……そうでしょうか」
「そうだとも、でなければ、希望などという意味を込めない」
少し考え込むと、青紫は再び筆を手に取り和洋紙んい書く。そして、紫苑に見せた。和洋紙には、紫苑__と書かれている。
「私と同じ、紫という漢字を使いました。苑には、囲いという意味があります。あなたはこの森一体のボス的な存在ですから、ピッタリでしょう?」
そう言って、青紫は楽しそうな笑みを見せた。
「私からのプレゼントです。紫苑」
無邪気な笑みを向け、紫苑に和洋紙を差し出す青紫。
「……ああ、そうだな。ありがとう、愛おしい息子」
そう言い、紫苑は目を閉じ、青紫に自分に自分の額をつける。青紫も穏やかな笑みを浮かべると、目を閉じた。
(私も願うよ、青紫。お前の生きる道が、幸せであるようにと)
紫苑が昔話に老けていると、風が緩やかになる。
「何、急に風が弱まった」
「風早だな。私が上手く飛べるように、風の抵抗をなくしてくれているのだ」
(風早……ありがとう)
「私の異能で、ここら一体に結界を張っている。妖気は広がらないだろう。紅葉の話では、黒羽と漆原も応援に来ている」
一縷と庵を含めた黒羽一門は帝都で、紅葉の父親を含めた漆原一門が近隣の街で災いに備えているという。
「だが、私もいつまで持ち堪えられるか分からないし、この妖気が禍々しい邪気に変わってしまわないうちに、あの妖怪を壺に封印しなおさなければ」
(……青紫さん)
優子の両手に力がが入る。
「風は味方になった。スピードを上げる、しっかり掴まれ!」
「はい……!」
紫苑は一気にスピードを上げ、青紫の元へと急いだ。
